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一審では認定された医師の過失も否定
“割りばし事故”二審も医師に無罪判決

判決後の会見に臨む、隼三君の母親の杉野文栄さん(左)と父親の杉野正雄さん(中央)。

 東京都杉並区で1999年、転倒時にくわえていた割りばしが脳内に刺さった男児が、救急外来受診の翌日に死亡し、診察を担当した医師が業務上過失致死罪に問われた刑事裁判の二審で、東京高裁は2008年11月20日、検察側の控訴を棄却する判決を言い渡した。一審判決では、医師の過失(注意義務違反)は認めつつも死亡との因果関係を否定し、被告人の医師を無罪としたが、二審では、医師の過失そのものが否定され、被告人側の主張が全面的に認められた形となった。

民事、刑事で分かれていた過失の判断
 このいわゆる“割りばし事故”が起きたのは、1999年7月10日。当時4歳だった杉野隼三君が、盆踊り大会で綿菓子の割りばしを口にくわえたまま転倒し、口腔内を損傷した。隼三君が搬送された杏林大病院で診察に当たった耳鼻咽喉科の当直医は、隼三君の口腔内に出血を認めなかったことなどから、外用薬を塗布し、帰宅させた。しかし、翌朝になり隼三君の容態が急変、午前9時過ぎに心肺停止により死亡した。その後の解剖で、頭蓋内から割りばし片が発見された。

 この事故を受けて、隼三君の両親は2000年、病院側と医師を相手取り、約9000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴(民事裁判)。さらに、東京地方検察庁が2002年、同医師を業務上過失致死罪で起訴した(刑事裁判)。

 刑事裁判の一審判決は、2006年3月に言い渡され、東京地裁は隼三君の死亡における医師の責任(業務上過失致死罪)を否定し、無罪とした。ただし、死亡との因果関係はないものの、十分な問診の上、ファイバースコープによる上咽頭腔の観察や頭部CT検査を施行すべきだったとして、医師の注意義務違反があったことは認定した。
 
 これに対し、2008年2月に出された民事裁判の判決では、医師の注意義務違反、死亡との因果関係のいずれについても否定した上で、原告側の請求を退けており、民事裁判と刑事裁判で医師の過失の判断に違いが生じていた。このため、今回の刑事裁判の控訴審での東京高裁の判断に注目が集まっていた。

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