日経メディカルのロゴ画像

FDAがTNFα阻害薬の真菌感染リスクを重視、警告表示を強化へ
TNFα阻害薬による小児の癌リスクに関しても調査中

 米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月4日、医療従事者に対して、腫瘍壊死因子α阻害薬TNFα阻害薬)を使用している患者は、ヒストプラズマ症その他の侵襲性真菌感染症リスクが上昇した状態にあるが、実際に発症しても診断されにくく治療は遅れがちで死に至る可能性がある、と注意を喚起した(FDAのリリースはこちら)。

 またFDAは同日、TNFα阻害薬4剤のメーカーに対し、薬剤の処方情報と患者向け医薬品ガイドのWarnings and Precaution部分に記載されている真菌感染に関する警告を強化するよう要求した。メーカー各社は30日以内にラベル変更を申請するか、変更が必要ではない理由をFDAに対して明らかにしなければならない。

 さらにメーカーには、処方せん発行者に対する教育の実施も求められた。

 米国内で市販されているTNFα阻害剤は、ヒューミラシムジアエンブレルレミケードの4剤。免疫系を抑制する作用を持ち、関節リウマチ若年性特発性関節炎(JIA)乾癬性関節炎尋常性乾癬強直性脊椎炎クローン病などの治療に用いられている。

 今回のFDAの決定は、TNFα阻害薬使用者の肺または他の部位に発生したヒストプラズマ症、コクシジオイデス症ブラストミセス症、その他の日和見感染症に関する報告を分析した結果に基づくものだ。

 ヒストプラズマ症として報告された症例は240例で、レミケード使用者が207例、エンブレルが17例、ヒューミラが16例だった。多くがヒストプラズマ症の流行地域となっているオハイオ川とミシシッピ川の流域で発生していた。それらのうち少なくとも21例が、当初ヒストプラズマ症と診断されず、治療が遅れて12人が死亡している。2008年4月に承認されたばかりのシムジア使用者のヒストプラズマ症も1例あった。そのほか、TNFα阻害薬使用者のコクシジオイデス症、ブラストミセス症に関する報告も受け取っており、死亡例もあったという。

 FDAから医療従事者へのアドバイスは以下の通り。

*TNFα阻害薬使用者は、侵襲性真菌感染症、例えばヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、アスペルギルス症、カンジダ症、その他の日和見感染のリスクを有する。医療従事者は、これら感染症の流行地域に居住する患者に対しリスクを警告すべきだ。

*TNFα阻害薬を投与した、またはTNFα阻害薬を用いた治療を終了した患者については、全身性の真菌感染症の徴候または症状(発熱、倦怠感、体重減少、発汗、咳、呼吸困難、X線画像上の肺浸潤、ショックを含む重症の全身性反応など)を示さないかどうか慎重に監視する必要がある。感染を起こした場合には投与は中止し、真菌培養、組織病理検査、抗原検査、血清中の抗体価測定を含む検査を行う。

*流行地域在住または流行地域への旅行歴がある患者については、疑わしい徴候を示した時点で真菌感染を想定すべきだ。経験的抗真菌治療を行うかどうかは、侵襲性真菌感染症の診断と治療の経験が豊富な専門家と相談の上で、判断を下すことが望ましい。

*真菌感染症から回復した患者には、TNFα阻害薬の投与を再開できる。しかし再開に際し、TNFα阻害薬の利益とリスクを再評価する必要がある。流行地域在住者については特に慎重に検討すべきだ。抗真菌治療の継続期間とTNFα阻害薬の投与再開の判断は、可能なら専門家の指示を仰ぐ。

*TNFα阻害薬を処方する医療従事者は、患者とその介護者に対し、以下の情報を提供する。
・TNFα阻害薬を使用している患者は感染リスクが上昇した状態にある。一部の感染症は重症化し、入院が必要になる場合や死亡する場合もある。重症感染症の病原としては、ウイルス、真菌、結核菌を含む細菌が挙げられる。

・体重減少、持続する発熱、発汗、咳、息切れ、疲労感があったら即座に受診する。

・受診時に医師に居住地域を告げること。最近米国内外を旅行した経験があれば旅行先も告げる必要がある。特定の地域で特定の感染症のリスクが高いためだ。
・医師にTNFα阻害薬使用者であると告げること。告知してあればより適切な治療が選択される可能性がある。

・体調に関する情報は詳細に医師に告げること。長引く感染症状や、ぶり返す感染症などについても知らせる必要がある。

この記事を読んでいる人におすすめ