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大野病院事件、第三次試案を巡って医療制度研究会が意見交換会を開催
「国民は医療についてもっと知りたがっている」

医療報道の現状を紹介する真々田弘氏

 「国民は医療についてもっと知りたがっている」―。8月9日に開催された医療制度研究会主催の意見交換会で、テレビ番組で医療問題を報じている日本電波ニュース社報道部の真々田弘氏は訴えた。

 この意見交換会は8月20日の福島県立大野病院事件の判決を控えて、医療・報道・司法の各分野から論客が集まり、医療を取り巻く環境に対する日ごろの考えを述べるという趣旨で行われた。全国から100人近く医師、現役医学生などが集まり、活発な議論が行われた。

 第一部は「大野病院事件から第三次試案大綱までを振り返る」と題して、現役産婦人科医であり、被告側に立って活動している野村麻美氏(国立病院機構名古屋医療センター)が事件のこれまでの経緯をまとめ、事件のもたらした影響を指摘した。

 「この事件の影響を受けて、2004年以降、産科医の人数と分娩取り扱い数が減少した。医療従事者に、これから必要とされるのは、マスコミや患者さんに医療には限界があることをきちんと知らせること、医療は人体への侵襲が避けられないことを患者さんに周知することであるということを明らかにした」と事件の社会的影響を総括した。

 加えて、「医療裁判の判決がどれほどの影響力を持つのかを司法に認識してもらうことも重要だと思う。司法の場で医療を裁くのであれば、司法の側も医療部門を作るなどして、医療についてもっと勉強していただきたい」と意見を述べた。

 続いて日本電波ニュース社報道部の真々田弘氏が、医療報道の現状を紹介した。「現在、『NEWS ZERO』という番組の1年間の企画として、医療問題を担当している。私達は、まず現場に行き医療従事者の側に立って番組を作るというコンセプトで番組を作っているので、視聴者から抗議が来るのでは、と考えていた。しかし予想に反して、視聴者から『もっと医療現場について報道してほしい』という声が寄せられた。地方在住の視聴者は、都市の人よりも、まちの病院がなくなるのでは、という危機感を持っていると感じている」と語った。

 また、「取材で医療の現場に行ってみて、個々の医師ががんばっているのがよく分かったが、『医師の集団』としてのまとまりが感じられなかった。医師の労働環境がこれほど悪化する前に、なぜ医療界全体として声を挙げなかったのだろうか。医師の総意を集めて、国民に伝えてほしい。今がまさにその好機だと思う」と医療者側に提言した。

 続いて医療訴訟に詳しい弁護士の井上清成氏が医療安全調査委員会の導入について意見を述べた。

 「第一次試案から、大綱まで出てきたが、結局のところ根幹は変わっていない。このままの新しい制度が導入されれば、医療従事者の人権が脅かされることになる。また、大綱や医療安全調について、メリットは強調されているが、どのようなデメリットがあるのかは情報が開示されていない。現場の医師の反対の声は、日本医師会のトップには伝わっていないようなので、反対の意思表示がもっと必要だ」

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