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インクジェット方式で微細にフィッティング
カスタムメイド人工骨の臨床試験スタート
東大など10施設で7月から

カスタムメイド人工骨の3次元モデル(紫色部分)。

 小顎症や癌切除など、顔面の骨欠損に移植する人工骨。欠損部の形状にぴったり合うよう成型する新技術を用いた、カスタムメイド人工骨の臨床試験が7月から東大など全国10施設において始まった。東大ティッシュ・エンジニアリング部部長の高戸毅氏が7月14日に公表し、この人工骨の特徴として「欠損部に密着する形状を作成できるため、自家骨に早く置換される上、ある程度の支持性を保っていること」と語った。

 日本では、手術で切除した骨や遺体からの献骨を集める「骨バンク」が整備されていない。そのため、先天性疾患や外傷、癌切除などによる骨欠損に対して行えるのは、自らの腸骨(腰骨)や肋骨、脛骨などを切り取って移植する自家骨移植、もしくは人工的に作成した人工骨移植のどちらかだ。しかし、自家骨移植は侵襲が大きく、大きな骨が採取できないなど制限が多い。そのため、治療効果が高く、安全な人工骨の開発が望まれている。

 既存の人工骨は大きく分けてパウダー状のリン酸カルシウムを用いたペーストタイプと、セラミック製の焼結タイプに分かれる。ペーストタイプは自家骨への置換は早いが、支持性がなく変形しやすい。焼結タイプは支持性は高いが、生体適合性が低く異物と見なされやすいため、体表に近いところでは術後の露出が問題となる。また、焼結の工程が必要なので、患部に完全に符合するよう精密な成型をすることは難しい。術中に医師が切削する手間もかかる。

 今回のカスタムメイド人工骨は、生体適合性の高さと支持性から、これら既存の人工骨の欠点を克服したとしている。まずは患部CT画像から、3次元モデルを作成し、術者が人工骨を設計する。そのデータを基に、リン酸カルシウムなどの骨材と硬化液をインクジェットプリンターの要領で“重ね塗り”。誤差1mm以内で人工骨を成型することで、形態の符合性を高めた。また、硬化液などの開発とともに成型の工程も工夫し、顔面などの非加重部であれば十分な支持性を保てるようにした。

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