日経メディカルのロゴ画像

医師不足対策
医師養成数、「増加」に方針転換
舛添厚労相の私的懇談会が報告書まとめる

 舛添要一厚生労働相の私的懇談会である「安心と希望の医療確保ビジョン」会議は6月18日、医師不足対策に関する報告書をまとめた。柱は大学医学部定員増。1982年以来、抑制してきた医師養成数を増加させる方針を示した。

 報告書の主な内容は、経済財政諮問会議が6月末までにまとめ、2009年度の予算編成の基礎となる「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)に盛り込まれる予定。舛添厚労相は「17日の閣議後、福田康夫首相と懇談して医師数増加の了承を得た。今回の報告書は、新しい医療体制の構築を方向付けるものになると確信している」と語った。

 報告書には、「現下の医師不足の状況にかんがみ、従来の閣議決定に代えて、医師養成数を増加させる」と明記。特に産科、小児科、救急科、外科といった人手が不足する診療科の医師数の増加を重点的に検討するとしている。ただし、具体的な増員数や時期については財源の確保などの問題から明示されなかった。厚生労働省は、今年秋から冬にかけて本格化する予算編成や税制改革の論議に合わせて増員数などを詰めていきたい考えだ。

 一方で、効果が表れるまでに時間のかかる医師養成数の増加だけでなく、短期的な施策も打ち出した。その一つが、「女性医師の離職防止・復職支援」。短時間正社員制度などを利用して、出産、育児中の女性医師が働きやすい勤務環境を普及させる方針だ。院内保育所の整備や充実にも取り組んでいく。

 このほか、非常勤医師の過疎地への派遣などによる地域医療の支援や、看護師をはじめとしたコメディカルの活用と雇用数の増加、医師不足問題がより深刻な診療科や地域医療に貢献している臨床研修病院の評価、病院の医師数の基準見直しなどを図る。

 人手不足が深刻な救急医療に関しては、病状に応じて適切な医療機関に救急患者を振り分ける体制の整備や、休日・夜間救急への開業医の参画、電話相談窓口の設置による“コンビニ受診”の抑制などを進めていく。さらに、患者が病院に依存しがちで勤務医の負担が増している現状を打開するため、在宅医療の推進も図っていく。在宅医療を提供する医療機関においては、末期癌や精神・神経疾患などの専門性の高い分野にも対応できるようにしてもらうほか、訪問看護のさらなる普及を目指す。

 これらの対策の財源について、舛添厚労相は、「野放図にお金をかけるのではなく、行政改革の努力をし、政策の優先順位を決めた上で必要なものには予算を付けていきたい」とコメントした。

この記事を読んでいる人におすすめ