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東京保険医協会「医療関連死シンポジウム」開催
医師法21条は別件逮捕のために使われている
医療事故調をめぐり、上東大准教授ら論客が活発な議論(6/10訂正)

 「医療関連死シンポジウム」が5月24日、東京保険医協会の主催で行われた。当日はシンポジストとして、上昌広東大医科学研究所客員准教授、川口恭『ロハス・メディカル』発行人、井上清成弁護士、澤田石順鶴巻温泉病院医師、阿真京子氏(「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」代表)の各氏が参加。現在、医療界で大きな議論を呼んでいる第三次試案を中心に活発な意見交換が行われた。

各氏の主な発言は以下の通り。

上昌広東大医科学研究所客員准教授
 「現在第三次試案医療安全調査委員会について医療者の間で活発な議論がされている。医療事故調には問題点が4つある。

 まず、『司法は謙抑的に対応する』というが、医療事故調は責任追及の責務を負う司法に対して拘束力を持っていない。過失という概念は法的なものであり、医学的判断にはなじまない。

 次に、『医療事故調は責任追及を目的としていない』というものの、組織としてできてしまえば責任追及のために機能してしまう懸念がある。

 三番目に、診療関連死の届出が義務化されれば、行政処分の拡大が可能になる。行政処分のために、医療事故調の情報が使われるだろう。

 四番目は、医師法21条をどうするかということ。21条をどのように改正すべきか、たくさんの案が出ている。医師法21条単独で立件された人は一人もおらず、すべて業務上過失致死で逮捕されている。別件逮捕のためにこの法律が適用されている。この法律があろうがなかろうが、立件数には影響がない可能性が高い。

 今、私たちがしなければならないことは幅広い議論である。医師も、第三次試案についてはよく分からないという人も多い。近年は現場の医師がオンラインメディア、ブログを利用して問題提起を行っている。今必要なことは、国民・医療従事者・医療機関にもっと情報提供をすることだ。」

川口恭『ロハス・メディカル』発行人
 「ブログで『診療行為に関連した死亡に係る死因究明の在り方に関する検討会』、大野病院事件の公判の傍聴記を掲載してきたが、マスメディアは全く報道しなかった。現在、医療事故調についての議論がなされているが、これはプラスの面とマイナスの面がある。プラス面は医療界の風通しがよくなり、議論が活発になったこと。マイナス面は医療事故の被害患者との軋轢が非常に大きくなってしまったこと。いずれにせよ、きちんとした議論のないまま、医療事故調という組織だけを作ろうとしているのは問題だ。
 また、メディアには医療界と患者の架け橋の役割を期待されるが、一営利企業に過ぎないマスコミがその役目を果たすのは難しい。マスコミは記事について訴えられるのを恐れている。

 新聞・テレビは記者クラブが中心になっている。メディアに訴えかけて、世論を動かす為には医師が直接、記者クラブに情報を提供してはどうだろうか」

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