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日本内科学会総会から
“はずれ年”のワクチン有効率は20%

「現行のインフルエンザワクチンには改善すべき点が多い」と話す池松秀之氏。

 「せっかく予防接種を受けたのになあ…」。インフルエンザの流行シーズンに、外来でインフルエンザ患者からこのような恨み言を言われ、苦笑いした経験のある医師は少なくないだろう。実際に、ワクチン接種後にインフルエンザに罹患した患者を多く診る年、つまり、ワクチンの効果があまり良くないと感じる年と、そうでない年があることはしばしば経験される。

 日本臨床内科医会の大規模前向き試験の結果、インフルエンザワクチンの有効率は、流行シーズンによって20%から80%まで大きな開きがあることが明らかになった。4月11日に開催された第105回日本内科学会で、原土井病院(福岡市東区)臨床研究部部長の池松秀之氏が発表した。
 
 この試験は、インフルエンザワクチンの効果を調べることを目的に、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班が2001/02シーズンから継続的に行っているもの。同医会に所属する40施設以上の医療機関で、インフルエンザの予防接種を希望した患者と希望しなかった患者を事前登録し、その後、インフルエンザ様の症状が発現した患者について迅速診断キットを用いて診断し、罹患状況を把握した。また、一部の参加者の協力を得て、ワクチン接種前後、およびインフルエンザ発症時、回復時それぞれの赤血球凝集反応(HI)抗体価を測定した。

 その結果、2001/02シーズンから2006/07シーズンまでの過去6シーズンのいずれにおいても、ワクチン接種者からのインフルエンザ発生率は、非接種者に比べて有意に低く、全体としてはワクチンの有効性が認められた。ただし、年齢群別に発生率を見ると、シーズンによっては有意差が認められない年齢群も少なくなかった。

 さらに、過去6シーズンのワクチン有効率の推移を見ると、かなりのばらつきが認められた。2001/02シーズンのワクチン有効率は、A型ウイルスに対して78.6%、B型ウイルスに対して61.6%と高かったのに対し、2006/07シーズンではA型に対して20.5%と非常に低く、B型でも40%にとどまっていた(図1)。全体として、ここ数シーズンのワクチン有効率は低調である傾向が見て取れた。

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