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HAVワクチンvs.免疫グロブリン、どちらが有効?
ワクチンの効果は免疫グロブリンに劣らず

 A型肝炎ウイルスHAV)曝露があった人の発症を予防するためには、HAVワクチン免疫グロブリンのどちらが効果が高いのだろうか。HAVワクチンと免疫グロブリンの有効性を直接比較する無作為化試験の結果、ワクチンの効果は免疫グロブリンに劣らないことが示された。米国Michigan大学のJohn C. Victor氏らの報告で、詳細はNEJM誌2007年10月25日号に掲載された。

 HAVは急性肝炎を引き起こす。糞口経路で伝染し、潜伏期は平均28日だ。米国では、小児へのワクチン接種が行われるようになってA型肝炎罹患率が低下したが、国際的には、依然として多くの国で、HAV感染リスクが高い状態が続いている。

 米国で曝露後の発症予防に用いることが許可されているのは、現在のところ免疫グロブリンのみで、曝露から2週間以内に投与される。場合によっては、一度に何万人という大規模な曝露も想定されるが、免疫グロブリン製剤の供給には限界がある。

 一方、HAVワクチンの曝露後投与については、免疫原性試験、動物実験、フェーズ3臨床試験により、発症予防に有効であることを示唆するデータが得られていた。ただし、ワクチンとプラセボの比較は倫理上の問題から行われていない。しかしワクチンには、保護効果が持続する、注射の液量が少ない、需要を満たす十分な供給量を確保できる、などの利点がある。

 そこで著者らは、曝露者の症候性HAV感染予防に対する免疫グロブリンとHAVワクチンの効果を比較する試験を実施した。

 2重盲検の無作為化試験は、非劣性試験として、カザフスタン最大の都市であるアルマトゥイで行われた。2002年10月から2005年2月に被験者を登録。サーベーランスにより発端患者を世帯内、またはデイケアセンター内で同定し、2~40歳の接触者のうち、HAV感染歴なし、HAVワクチン接種歴なし、肝疾患でない、という条件の人を選出し、血清学的検査により易感染性と判断された人々を追跡した。曝露日は、発端患者に最初の症状が現れた日とした。

 主要エンドポイントは、曝露14日以内にワクチンまたは免疫グロブリンの投与を受け、曝露から15~56日の間に発症し、検査確認された症候性HAV感染とした。具体的には、抗HAV IgM抗体陽性で、症状が発現している間に血清のアラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT)値が2回以上にわたり正常域上限を超え、HAV感染を示す臨床徴候または症状(皮膚/強膜/口蓋の黄疸、灰白色便、褐色尿、腹痛または上腹部右側の痛み、吐き気、嘔吐、腋窩体温37.5度以上、食欲喪失、倦怠感)を1つ以上示した患者を症候性HAV感染と判定した。

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