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肺炎球菌ワクチンの接種は有効
死亡またはICU入院を40%低減

 肺炎球菌ワクチンの接種は、市中肺炎で入院した患者の死亡またはICU入院を40%減らすことが、集団ベースのコホート研究により明らかになった。カナダAlberta大学のJennie Johnstone氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2007年10月8日号に報告された。

 ハイリスク患者(高齢者、老人ホーム入居者、慢性肺疾患、他の慢性疾患の患者など)に対する23価肺炎双球菌多糖体ワクチンの接種率は、目標とされる80~90%にはほど遠い状況にある。複数の無作為化試験で、ワクチンの市中肺炎予防効果の証明に失敗したことが、その一因だといわれている。しかし一方で、浸潤性の肺炎球菌性肺炎の予防に肺炎球菌ワクチンが有効であることが複数の研究で示されている。さらに、ワクチン接種を受けたが市中肺炎を発症した患者において、死亡、呼吸不全その他の重症の合併症のリスクが低いという報告もある。

 今回、著者らは、ワクチン接種が院内死亡またはICU入院に及ぼす作用を調べる集団ベースの大規模研究を行った。対象となったのは、2000~2002年にカナダ最大の医療提供システムCapital Healthに属する6病院に、市中肺炎で入院した17歳以上の全患者。肺炎重症度指数(PSI)のスコアが90以上の患者と、90未満だが救急部門の医師が入院が必要と判断した患者が、入院適応となった。

 ワクチン接種の有無は、患者との面接、医療記録を調べる、医師や地域医療担当局に尋ねる、といった方法で確認した。社会人口学的特性、臨床所見、生化学的検査、微生物学的検査、放射線学的検査の結果などのデータを前向きに収集。追跡は入院期間中とした。

 主要エンドポイントは、院内死亡またはICUへの入院とした。ICU入院後死亡した症例については、死亡のみをカウントした。2次エンドポイントは、死亡単独、ICU入院単独、退院前の肺炎ワクチンの接種とした。加えて、ベースラインの患者の特性、肺炎の重症度などで調整した多変量回帰分析を実施した。

 試験期間中に入院した市中肺炎患者は3415人。年齢の中央値は75歳、46%が女性、31%が慢性閉塞性肺疾患、19%が老人ホーム入居者だった。入院患者の62%は重症肺炎と診断された。肺炎ワクチン接種を受けていたのは760人(22%)。

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