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小児高血圧の診断率は26%にとどまる
ガイドラインの複雑なカットオフ値が原因

 小児の肥満が増えるにつれて高血圧の有病率も増加し、米国では現在2~5%に上ると推算されているが、臨床の現場で小児高血圧を診断することは難しい。米国Case Western Reserve大学のMatthew L. Hansen氏らが、3~18歳の高血圧と高血圧前症の診断率を調べたところ、それぞれ26%と11%にとどまることが明らかになった。詳細はJAMA誌2007年8月22/29日号に報告された。

 米国の小児高血圧診断ガイドラインは、3回の受診時に測定した血圧の値が、年齢、性別、身長が同じグループの95パーセンタイル以上になった場合を高血圧としている。高血圧前症も、同様に、3回の受診時に測定した血圧が、年齢、性別、身長が同じグループの90パーセンタイル以上、または、120/80mmHg超で、95パーセンタイル未満となっている。ただし、この基準を日常診療に取り入れることは容易ではない。年齢、性別、身長によって個々にカットオフ値が異なり、ガイドラインが非常に複雑であるからだ。そのため、診断されていない高血圧と高血圧前症は少なくないと考えられる。

 著者らは、実際の診断率と、診断にかかわる患者側の要因を調べるためにコホート研究を行った。対象は、オハイオ州北東部の医療機関のwell-child care部門(小児の予防接種と検診を行う部門)を1999年6月から2006年9月までに3回以上訪れた、3~18歳の1万4187人(最近の受診時の平均年齢8.8歳)。

 米国では、well-child care受診時の血圧測定実施が推奨されており、血圧のデータが医療記録に残されている。そこで医療記録から血圧測定値のほか、人種、年齢、性別、体重、身長を抽出。それらを診断基準と照らし合わせて高血圧と診断された小児の数と、データベースに登録された医療記録に高血圧、高血圧前症と診断が記載されていた小児の数を比較した。さらに、多変量ロジスティック回帰分析により、正確な診断にかかわる患者側の要因を探した。

 著者らの診断で高血圧となった507人(全体の3.6%)のうち、高血圧または血圧上昇と記載されていたのは131人(26%)。131人中51人は、高血圧ではなく血圧上昇という記載のみだった。そのため、正確に高血圧と診断されていた患者は80人(15.8%)にとどまった。また507人中17人(3%)はステージ2の高血圧だったが、うち10人(59%)は、血圧上昇または高血圧関連疾患との記載で、ステージ2高血圧の診断はなされていなかった。体重のパーセンタイル、高血圧家族歴や、アフリカ系米国人であるなどの要因と、高血圧診断との間には有意な関係は見られなかった。

 高血圧前症については、著者らが高血圧前症と診断した485人(3.4%)のうち、適切に診断されていた患者は55人(11%)だった。

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