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変形性膝関節症への鍼治療追加は利益なし
鍼治療の作用機序にも疑問が

 変形性膝関節症の標準的な理学療法は運動を中心に据えているが、そこに鍼治療を加えた場合の痛みの軽減は明確に証明されているのだろうか。英国Keele大学のNadine E Foster氏らは、理学療法に鍼治療を加えた場合の痛みの軽減を評価する前向き無作為化試験を行い、鍼治療による利益の追加は見られないことを示した。詳細はBMJ誌電子版に2007年8月15日に報告された。

 英国や欧州の治療ガイドラインは、患者教育、運動と共に、投薬の役割を強調している。しかし高齢の患者は、長期にわたる薬物療法を好まず、補完医療を希望する傾向が強い。英国の補完医療の中で、最も一般的なものの一つが鍼治療で、10%を超える英国の一般開業医が、毎週、鍼治療ができる施設に患者を紹介、または自身が鍼治療を行っているというデータもある。実際に、変形性膝関節症患者に対し、鍼治療はプラセボよりも有効であるとする系統的レビューの結果も報告されている。

 著者らも、先に、膝の痛みを訴える高齢者には、薬物療法よりも運動を中心とする理学療法の方が有効であることを示していた。新たに鍼治療を加えると、さらに効果は上がるだろうか。この問いに答えるために、変形性膝関節症患者の膝の痛みの軽減を目的として理学療法士が指導する一連の運動とアドバイスに、鍼治療を追加した場合の利益を評価する多施設試験を実施した。

 対象は、イングランド中部の一般開業医から紹介された患者を受け入れている37の理学療法施設を訪れた、50歳以上の変形性膝関節症患者で鍼治療経験がない352人(平均年齢63歳)。無作為に以下の3群に割り付けた。

 A群:ベースとなる治療は、データに基づいて理学療法の中で最善と判断されたアドバイスと運動の組み合わせ。患者にリーフレットも配布(116人)。
 B群:A群に伝統的な中国式鍼治療を追加(117人)。
 C群:本当の鍼ではなく先端が鈍い鍼を用いるため、圧迫刺激のみで体内には入らないが、鍼治療経験のない患者には真の鍼と区別がつかない、刺入しない鍼療法を追加(119人)。

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