日経メディカルのロゴ画像

小児呼吸器感染への抗菌薬処方で耐性菌保菌者が倍加
集団では高レベルの抗菌薬耐性を維持させる

 急性呼吸器感染の小児患者に一般開業医が処方する抗菌薬が、耐性菌保有率にどう影響するのだろうか。βラクタム系抗菌薬の投与を受けた小児を追跡し、分離されるHaemophilus属の抗菌薬耐性因子の保有率を調べた結果、その保有率は劇的に変化することが明らかになった。英国Oxford大学のAngela Chung氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2007年7月26日に掲載された。

 一般開業医が最も高率に抗菌薬を処方するのは、小児の呼吸器疾患患者だ。そこで著者らは、呼吸器感染または中耳炎の疑いでオックスフォードシアの一般開業医を受診した生後6カ月から12歳までの小児を対象に観察コホート研究を行った。

 条件を満たした119人(平均年齢5.4歳、うち103人が抗菌薬投与歴あり)を被験者とした。71人がβラクタム系抗菌薬(アモキシシリンが70人、セファラジンが1人)の処方を受けた。48人には抗菌薬は処方されなかった。

 ベースラインと2週後、12週後に咽頭スワブを採取し、Haemophilus属の細菌を単離。さらにそれらの細菌が「ICEHin1056」を保有するかどうか調べた。薬剤耐性エレメントICE(Integrative and Conjugative Element)は、βラクタマーゼをコードしており、鼻咽喉に定着しているHaemophilus属の菌に入り込んで、βラクタム系抗菌薬に対する抵抗性を付与する。

 主要アウトカム評価指標は、登録時、2週後、12週後の、βラクタム系抗菌薬アンピシリンに対する最小発育阻止濃度(MIC)値の平均を指標とする抗菌薬耐性と、Haemophilus分離株におけるICEHin1056の存在頻度に設定された。

 まず、Haemophilus分離率は、ベースライン85%(119人中101人)、2週時には92%(110人中101人)、12週時は97%(109人中106人)と高かった。分離率は、抗菌薬投与群と非投与群の間でほぼ同等だった。

 ベースラインでは、Haemophilus分離株のアンピシリンに対するMIC値の平均は、投与群2.4μg/mL、非投与群4.1μg/mL(p=0.24で有意差なし)。分離株のICE保有率はそれぞれ32%(62人中20人)と38%(39人中15人)(p=0.52)。これまで一度も抗菌薬使用歴が無い小児から分離されたHaemophilusも、53%(15人中8人)がICEを有していた。

この記事を読んでいる人におすすめ