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スペイン風邪に学ぶ―学校閉鎖、集会禁止、隔離が有効
インフルエンザ・パンデミック対策には非薬物介入も重要

 インフルエンザ・パンデミック対策において、抗ウイルス薬の備蓄が進み、効率よいワクチン作製法の開発が進む現代においても、医薬品以外の公衆衛生学的介入非薬物介入)の適切な実施は、抗ウイルス薬とワクチンを大量に製造し配布するための時間的猶予を与えると共に、医療サービスとインフラストラクチャへの負荷を減らすと期待される。

 スペイン風邪と呼ばれた1918~1919年のインフルエンザ・パンデミックは、全世界で致死的感染を引き起こした。死者は、米国人55万人を含む約4000万人に上った。薬物介入が十分に行うことができなかった当時の歴史的な記録は、最大規模の非薬物介入の影響を示す貴重なデータだ。このときの歴史的資料を詳細に調べた結果、学校閉鎖、集会禁止、隔離といった非薬物介入が、肺炎とインフルエンザによる過剰死亡の抑制に効果を発揮したことが明らかになった。米国Michigan大医学部のHoward Markel氏らの報告で、詳細はJAMA誌2007年8月8日に掲載された。

 著者らは、1918年9月8日から1919年2月22日までの米国内43都市(当時の人口は2300万人、米国の人口の22%に相当)の間の死亡率の差に、非薬物介入の開始時期、持続期間、組み合わせが及ぼす影響を調べた。流行の第2波(1918年9~12月)のすべてと第3波(1919年1~4月)の最初の2カ月を含むこの期間に、非薬物介入は開始され、終了している。

 非薬物介入は、(1)学校閉鎖、(2)集会禁止(娯楽場、室内スポーツイベントなど。屋外イベントは必ずしも禁止されなかった)、(3)隔離、の3群に分類した。分析対象としたのは、軍の記録、公衆衛生当局の記録、新聞などから収集したデータ。ベースライントして1910~1916年の43都市の肺炎とインルフエンザによる1週間当たりの死亡率を求め、パンデミックによる過剰死亡率(EDR)を計算した。

 主要アウトカム評価指標は、1週間当たりのEDR、非薬物介入開始からEDRの最初のピークまでの日数、最初のピーク時のEDR/週、24週の調査期間全体の累積EDRに設定。そして43都市について以下の情報を収集した。
1)最初の症例が記録された日
2)死亡率がベースラインの2倍になった日
3)非薬物介入の開始日
4)公衆衛生当局が対策に乗り出すまでの日数(上記2)から3)までに要した日数)
5)非薬物介入の持続日数
6)過剰死亡率が最高に達した日
7)介入からピークまでの日数(上記3)から6)までの日数)
8)最初のピークの大きさ(10万人当たりの過剰死亡/週)
9)24週間の肺炎とインフルエンザによる過剰死亡(10万人当たりの総数)


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