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健康リテラシーレベルは死亡リスクの予測因子に
低レベル高齢者の全死因死亡、心血管死亡リスクは1.5倍

 健康リテラシーは実際の健康状態、死亡リスクに関係するのだろうか。米Northwestern大学のDavid W. Baker氏らは、65歳以上を対象に前向き研究を行い、読解の流ちょうさを指標とする健康リテラシーテストs-TOFHLA)の結果と、全死因死亡死因別死亡のリスクとの関係を調べた。その結果、適切な能力を持つ人に比べ、能力が不十分な人々の全死因死亡、心血管死、癌死のリスクは有意に高いことが示された。詳細は、Arch Intern Med誌2007年7月23日号に報告された。

 就学年数で示される学歴は、死亡の重要な予測因子だ。年収増が健康によい影響を及ぼすことは想像に難くないが、因果関係については、よく分かっていない。さらに教育が直接、影響をもたらすと考えられる能力の一つに、読解の流ちょうさ(reading fluency:読解の速度と効率、正確な解釈と理解の程度で評価される)がある。読解が流ちょうであるほど健康情報が十分理解でき、医療における適切な判断が可能になると考えられる。この能力を健康リテラシーと呼ぶ。

 健康リテラシーの低い人は、医薬品のラベルや添付文書の理解度が低く、また自己管理能力も低く、予防を目的としたサービスの利用が少ないという報告は、これまでにもあった。しかし、これまで健康リテラシーと実際の健康状態の間の関係を示す観察研究は行われてきたが、前向き研究はほとんど無かった。そこで著者らは、健康リテラシーのレベルが全死因死亡と死因別死亡の独立した予測因子になるかどうかを調べる前向き研究を、65歳以上の高齢者を対象に実施した。

 研究は、米国の都市部でメディケアのマネージドケアプランに登録された人々の一部に対して自宅で面接を行い、1997年に人口統計学的特性、慢性疾患(高血圧、糖尿病、心疾患、慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節炎、がん)、うつ、自己申告による身体的な健康と精神的健康状態、健康に関わる行動(飲酒、喫煙、運動など)、BMI、日常生活に支障が及ぶ障害、医療サービスの利用、医薬品の使用などについて質問した。加えて、短縮版Test of functional health literacy in adults (s-TOFHLA)を完了した3260人を分析対象とした。

 s-TOFHLAは、医療情報読解の流ちょうさ(数量的思考能力と読解力)を評価するテストで、数字を含む医療情報(インフォームドコンセント用紙、患者教育のための資料、薬瓶に書かれた使用法、診断検査の説明書など)の理解度を0-100のポイントで示すもの。0-55は「能力は不十分」で、最も簡単な情報である処方薬のラベルや予約票もしばしば読み間違えるレベル。67-100は「適切な能力有り」で、日常的な医療に関連する情報はほぼ完全に理解できるが、最も難しい、数が関わる情報を読み違えることはある人々。中間の56-66ポイントは「最低限の能力有り」と判定される。

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