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全世界がフラミンガムスコアで良いのか?
英国人にとってはフラミンガムよりQRISKが有用

 心血管リスク推算には、米国のフラミンガムコホート研究に基づく算出法が広く用いられている。しかし、人種差や社会環境の差を考えると、最適なリスク推算法は国や地域ごとに異なるのではないだろうか。英国Nottingham大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、英国の一般開業医の診療データベースを利用して、独自のリスク予測指標を開発、この指標が英国人にとってはフラミンガムスコアよりも有用であることを確認した。詳細は、BMJ誌電子版に2007年7月5日に報告された。

 ハイリスク者の同定に広く用いられているフラミンガムアルゴリズムは、ほとんどが白人を対象とした研究のデータを元に開発された。社会的貧困やBMI、家族歴、高血圧治療などの危険因子候補は含まれていない上、米国で心血管疾患の罹患率が最高となった時期に作製された。そのため、心血管疾患が少ない北欧の集団の場合、リスクを50%も過剰に推算してしまうという報告もある。リスクの過剰な検出は、医療費上昇をもたらし、過剰治療と不要な副作用を人々に与えることになる。

 そこでスコットランドでは、社会的貧困度も組み込んだ「ASSIGNスコア」が開発された。英国でも、指導や治療の利益を得られる患者を選出し、過剰な治療を防ぐために有用な指標の必要性は高いと考えた著者らは、英国民のための新たな心血管疾患リスクスコア「QRISK」を作製、フラミンガム、ASSIGNと比較して、その有効性を確認した。

 今回利用したのは、一般開業医から継続的に収集した臨床情報のデータベースQRESEARCHだ。QRESEARCHは英国の人口の7%をカバーしている。リスクスコア作製のための誘導コホートは、ベースラインで糖尿病ではなく心血管疾患の既往がない35~74歳の128万3174人(50.4%が女性)で、1995年1月1日から2007年4月1日に318施設で登録された。確認のためのコホートも同じデータベースから抽出、こちらは160施設から61万4553人(50.3%が女性)を選んだ。

 主要アウトカム評価指標は、試験期間中の心血管疾患(心筋梗塞、肝疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作)の初回診断とした。危険因子は、年齢、性別、喫煙、収縮期圧、総コレステロール値/HLD-C比、BMI、家族歴(1親等に60歳未満で冠疾患を発症した人がいる)、タウンゼントスコア、南アジア出身者の割合、降圧薬の使用歴に設定した。タウンゼントスコアは居住地の社会的貧困の指標で、失業、過密、自家用車非保有、借家という4つの変数に基づいて物質的貧困度を評価するものだ。

 誘導コホートの追跡期間の中央値は6.5年。820万人-年の観察で6万5671人にイベント発生。10年間の実際に観察されたリスクは、35-74歳の女性で6.69%(95%信頼区間6.61-6.78%)、男性で9.46%(9.36-9.56%)だった。
 

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