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HCV抗体陽性者の末期腎疾患リスクは2.8倍
短期間での腎機能低下に注意

 C型肝炎ウイルスHCV)抗体陽性者と陰性者の末期腎疾患ESRD)リスクを比較した初めての大規模研究で、HCV陽性者のESRDリスクは最大2.8倍であることが示された。米国California大学San Francisco校のJudith I. Tsui氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2007年6月25日号に掲載された。

 HCVの慢性感染は、肝疾患以外に、糸球体腎炎やアルブミン尿を引き起こすといわれてきた。しかし、HCV感染とESRDリスクの関係は明らかではなかった。著者らは、メディケア、退役軍人省、米国腎臓データシステム(USRDS)に登録されたデータを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。対象は、2000年10月1日から2001年9月30日の間にクレアチニン値の測定が行われ、その前後1年間にHCV抗体検査を受けていた47万4369人の退役軍人。追跡は2004年10月1日まで行われた(中央値は3.6年)。

 アウトカム評価指標は、ESRD罹患(慢性透析を受けている、または腎移植を受けた)に設定。交絡因子候補(年齢、性別、人種、併存疾患など)で調整し、Cox比例ハザード分析を実施して、相対ハザードを求めた。

 対象となった47万4369人のうち、5万2874人(11.1%)がHCV陽性だった。ベースラインの慢性腎疾患(推定糸球体濾過速度:eGFRが1.73平方メートル当たり60mL/分未満)の有病率は、HCV陽性者で低かった(調整オッズ比は0.91、95%信頼区間0.88-0.95)。

 1人当たり約5回のクレアチニン値測定結果に基づいて、1年当たりのrGFRの低下幅を比較。変化なしまたは増加、0-5mL/分より大、5-10mL/分より大、10mL/分より大の4群に患者を分類したところ、HCV陽性者の44%、陰性者の43%が、変化なしまたは増加となった(P<0.01)。しかし、10mL/分を超える低下を示した患者は、HCV陽性者14%、陰性者9%(P<0.01)で、陽性者の腎機能低下は急速に起こることが示唆された。


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