日経メディカルのロゴ画像

【第55回日本化学療法学会総会】
市中肺炎の治療、「静注」か「経口薬」か
キノロン系経口薬の使用も“やむを得ず”(6/7、6/12 訂正)

 市中肺炎の治療には外来静注療法OPAT)か、ペニシリンキノロンの経口薬か――。第55回日本化学療法学会総会では、こうした治療法の選択基準や適応についてのシンポジウムが行われ、活発な議論が交わされた。

 「成人市中肺炎ガイドライン」(日本呼吸器学会編)の浸透により、市中肺炎の治療にはセフトリアキソンを使った外来静注療法(OPAT)を行う例が増加している。しかし実際には、第1選択的にレスピラトリーキノロンの経口薬を使用するケースが多く、また高用量のペニシリン系薬という選択肢もガイドラインでは推奨されており、治療法の見極めに判断が分かれている。

 こうした現状を踏まえ、シンポジウムでは2つの点について議論がなされた。1つ目は、レスピラトリーキノロンを第1選択的に使用することの是非について。2つ目は、外来静注療法の適応はどのようにして決めれば良いのかだ。

「最初からキノロン」はどこまで許されるか
 キノロン系薬を使うことのメリットとしては、服用コンプライアンスが高い、非定型肺炎を否定しきれない場合でも使える、などが挙げられる。一方、デメリットとしては、現状での投与法(1日300mgを分3など)では、PK/PD(薬物動態と薬力学)を考慮した場合、常に耐性菌を生み出しやすい濃度が保たれてしまうという問題がある。キノロン系薬が頻用された泌尿器系疾患では淋菌のキノロン耐性が9割に達しており、むやみな使用を控えるべきだと考えられている。

 一方、高用量ペニシリン系薬は、特にキノロン系薬に比べて大きなメリットがあるわけではなく、呼吸器感染症におけるキノロン系薬の温存のためという意味合いが強い。デメリットとして、2g/日以上の高用量で投与すると、消化器症状(下痢など)が出やすくコンプライアンスが悪い、高用量で服用する場合の患者説明が難しい(アモキシシリンの常用量は750mg/日)、保険の審査請求が通らないのではないかという不安がある、などの点がある。そのため、現実的にはキノロン系薬が使用されがちだ。

 シンポジウムでは、まず石田直氏(倉敷中央病院呼吸器内科、岡山県倉敷市)がキノロン系薬の使用に肯定的な意見を述べた。

 「調べて驚いたが、キノロン系薬の使用頻度は、自分たちの所(倉敷中央病院)でも結構高いことが判明した。入院例こそペニシリン系薬が多く使われていたが、外来治療ではキノロン系薬が一番多かった(編集部注:経口薬のうちキノロン系約65%、ペニシリン系約10%)。使っている若手の医師に聞くと、『非定型肺炎を否定できないので、どうしても使ってしまう』という。確かに、若年者では非定型を鑑別しやすいので、細菌ならペニシリン、非定型ならマクロライドというように使い分けしやすいが、高齢者は厳密な鑑別が難しい。また高齢者は呼吸器の合併症が多く、耐性菌も多い。そのため、高齢者ではキノロン系薬をファーストチョイスにすることが許容されてもいいのではないか」

【訂正】
6/7に以下の点を訂正しました。
・本文の最後の段落で、「外来治療ではほとんど(編集部注:8~9割)がキノロン系薬だった」とありましたが、正しくは、「外来治療ではキノロン系薬が一番多かった(編集部注:経口薬のうちキノロン系約65%、ペニシリン系約10%)」です。

この記事を読んでいる人におすすめ