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アスピリン300mg/日を5年使用すると大腸癌リスク7割減
効果発現は使用開始から10年以降

 300mg/日以上のアスピリンを約5年間使用すると、10~14年後の大腸癌リスクは、アスピリン非使用者に比べ74%も低くなることが示された。英国Oxford Radcliffe診療所のEnrico Flossmann氏らの報告で、詳細はLancet誌2007年5月12日号に掲載された。

 著者らは、一般に、腺腫性のポリープが癌化するまでに10年以上かかることに注目、20年以上にわたって追跡する無作為化試験を2件行った。同時に、関連する観察研究の系統的レビューも行った。

 第1の無作為化試験British Doctors Aspirin Trialは、アスピリンを常用していなかった5139人の英国人男性医師を登録(平均年齢61.6歳)。被験者の3分の2を、500mg/日のアスピリンを5~6年間使用する群に、残りの3分の1をプラセボ投与なし対照群に割り付けた。

 また第2の無作為化試験UK-TIA Aspirin Trialは、英国とアイルランドで、アスピリン常用歴がなく、一過性脳虚血発作または小さな脳梗塞を起こした40歳超の2449人(平均年齢60.3歳)を登録した。3分の2を300mg/日または1200mg/日のアスピリンを1~7年間使用する群に、3分の1をプラセボ群に割り付けた。実際の治療期間は、割り付け時期によって1年から7年超となった。

 両試験とも、癌発症と死亡に関する追跡期間の中央値は23年だった。主要アウトカム評価指標は大腸癌とした。また2次アウトカムとして、他の癌の罹患率も調べた。

大腸癌リスク低減は治療期間と服薬遵守に依存
 両試験の被験者全体で、アスピリン使用群に割り付けられたグループの大腸癌罹患は129人(2.5%)であったのに対し、対照群は87人(3.7%)。アスピリン使用期間にかかわらず、アスピリン群に割り付けられた患者をプールしたハザード比は0.74(95%信頼区間0.56-0.97、P=0.02)で、大腸癌リスク低減が見られた。5年以上アスピリン使用に割り付けられたグループではリスクはさらに低く、0.63(0.47-0.85、P=0.002)となった。

 大腸癌リスク低減は、10年を超えた時点で現れた。割り付けから0~9年ではハザード比は0.92(0.56-1.49,P=0.73)で有意ではなかったが、10~19年でハザード比0.60(0.42-0.87、P=0.007)となった。ただし、この大腸癌リスク低減は、治療期間と服薬遵守に依存していた。5年以上のアスピリン使用に割り付けられた被験者全員では、割り付けから10~14年のハザード比は0.37(0.20-0.70、P=0.002)。うち、服薬遵守率が50%超の人々のみの10~14年のハザード比は0.26(0.12-0.56、P=0.0002)だった。

 なお、このリスク低減は、割り付けから15年を過ぎると見られなくなった。服薬遵守群でも15-19年のハザード比は0.66(0.37-1.16)、20年以上で0.65(0.26-1.63)と、有意ではなかった。

 大腸癌以外の固形癌と血液癌については、アスピリンによるリスク低減は見られなかった(1.01、0.88-1.16、P=0.87)。

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