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アルテプラーゼは血栓溶解療法の経験なくても使用可能
EU加盟国など14カ国285医療機関での観察研究より

 脳梗塞発症3カ月後の機能予後を有意に改善するアルテプラーゼは、日常診療でも安全に使えるのだろうか。スウェーデンKarolinska大学病院のNils Wahlgren氏らは、血栓溶解療法の経験がほとんどない医療機関が日常診療の場であっても、アルテプラーゼ静注は無作為化試験と同等かそれ以上に安全で有効であることを示した。詳細は、Lancet誌2007年1月27日号に報告された。

 日本では、アルテプラーゼは2005年10月に承認を獲得、特定の適応条件を満たした脳梗塞患者の治療に適用されているが、適用頻度は低いのが現実だ(関連記事)。
 
 Wahlgren氏らは、2002年から2006年にEU加盟国など14カ国285医療機関(脳卒中ユニットまたは同等の施設を持つ)で行われた前向きの観察研究(SITS-MOST試験)を行った。対象となった施設の半数は、過去に急性脳卒中患者に対する血栓溶解療法を全く、または、ほとんど経験していなかった。

 試験では、発症から3時間以内の18歳から80歳の患者6483人を登録。0.9mg/kgのアルテプラーゼを1時間静注した。主要アウトカム評価指標は、24時間以内の症候性脳内出血(局所または遠隔の実質内出血でNIH脳卒中スケールのスコア(NIHSS)が4ポイント以上低下)と、3カ月時の死亡率に設定。2次エンドポイントとして、3カ月時の機能的自立度と、コクラン/NINDS(国立神経疾患脳卒中研究所)の定義(あらゆる出血に加えてNIHSSが1ポイント以上低下、または7日以内に死亡)に基づく症候性脳内出血の頻度についても評価した。

 加えて、関連する無作為化試験の被験者(合わせて偽薬群465人、アルテプラーゼ群464人)の結果をプールしたものとアウトカムを比較した。SITS-MOST試験と無作為化試験の間で、ベースラインの患者の特徴はほぼ同等だった。

 得られたデータ(以下参照)は、日常診療において、発症から3時間以内のアルテプラーゼ静注は、血栓溶解療法の経験がほとんど無い施設であっても、無作為化試験と同等かそれ以上に安全で、有効であることを示した。これは、脳卒中センターにおける、適応基準を満たす患者に対する血栓溶解療法の広範な適用を支持するものだ。

   

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