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米国における新型コロナ英国変異株の伝播の様子
Cell誌より

2021/04/12
平山幹生(春日井市総合保健医療センター参事)

 新型コロナウイルス変異株(SARS-CoV-2)の伝播性が、他のコロナウイルスよりも高いという報告である1)

 英国で同定されたSARS-CoV-2のB.1.1.7変異株が世界中で拡散している。B.1.1.7は17のアミノ酸変異を起こす遺伝子変異、このうちスパイク蛋白質(S蛋白質)に8つのアミノ酸変異を起こす遺伝子変異がある。S蛋白質の受容体結合領域にあるN501Y変異はヒトのACE2受容体への結合性を高めるとされる変異で、B.1.351やP.1と呼ばれる変異株にも存在する。また、B.1.1.7株のS蛋白質遺伝子の欠失(Δ69/70 HV)は感染性を高めるとされた。こうした変異はSpike gene target failure(SGTF)、つまりS遺伝子を検出するPCRで結果が偽陰性となることと呼ばれるようになってきた。

 今回、SARS-CoV-2ゲノムシーケンシングを用いて、米国各州におけるこの変異株の有病率と動態を調べた。その結果、2020年11月下旬には米国に、独立していくつかの州に侵入し、コミュニティーにおける伝播は数カ月以内にほとんどの州に広がったと考えられた。2021年2月の時点で、米国の40以上の州に広がっていた。他の国で観察されているのと同様に、B.1.1.7の変異株は40~50%も感染力が強く、毎週もしくは1週間半ごとに相対的な検出頻度が倍増していた。2021年3月下旬までには多くの州でB.1.1.7が主要な割合を占めると推定された。

 これらの結果は、B.1.1.7およびその他の変異株の伝播を監視するため、継続的なSARS-CoV-2変異株の監視が強化される必要性を示唆している。米国ではSARS-CoV-2 VOC B.1.1.7、B.1.351、およびP.1の頻度がまだ比較的低いことを考えると、現在の不十分な監視体制を今後数週間で拡大する必要があるとしている。

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