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Ann Intern Med誌から
コルチゾール分泌濃度が高い副腎偶発腫瘍は死亡リスクが高い
デキサメタゾン抑制試験の結果は死亡リスクと直線的な相関を示す

 スウェーデンSkane大学のAlbin Kjellbom氏らは、副腎偶発腫瘍が分泌するコルチゾール濃度と患者の死亡リスクについて検討するコホート研究を行い、中央値6.4年の追跡で、1mgデキサメタゾン抑制試験後の血漿コルチゾール濃度が高い患者は死亡リスクが増加していたと報告した。結果は2021年5月25日Ann Intern Med誌電子版に掲載された。

 画像検査によって副腎に偶然見つかった腫瘍を副腎偶発腫瘍(AIs)と呼ぶ。AIsは、多くが副腎皮質腺腫で、年齢の上昇とともに有病率は上昇する。腫瘍からの自律性のコルチゾール分泌は、高血圧や2型糖尿病、脂質異常症などに関係することが報告されている。欧州内分泌学会は、1mgデキサメタゾン抑制試験後の血漿コルチゾール濃度(cortisol DST)が50nmol/L未満なら、自律性コルチゾール分泌は除外できるとし、50~137nmol/Lは、自律性コルチゾール分泌の可能性例、138nmol/L以上なら自律性コルチゾール分泌確定例に分類している。

 クッシング症候群患者における重症の高コルチゾール血症は、死亡と関連づけられている。AIsからのコルチゾール分泌が認められる患者にも、死亡リスクの上昇が見られている。AIs患者に対して、手術や内科的な治療による管理が必要かを適切に判断するためには、コルチゾール分泌レベルと死亡や合併症のリスクの関係を知る必要がある。そこで著者らは、スウェーデン南部の2つの病院で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を実施し、死亡、死因別死亡、複合心血管イベントと、cortisol DSTの関係を検討することにした。

 スウェーデンでは、内分泌疾患の患者は各地域の病院で専門医の治療を受けることになっている。著者らは、2005年1月1日から2015年9月15日までの期間にAIsが見つかり、スウェーデン南部の2病院に紹介された連続する患者を組み入れ対象とし、当初は全員を5年間追跡することにした。患者は午後11時にデキサメタゾンを投与され、翌朝8時に採血してコルチゾール濃度を測定した。除外対象は、転移性の癌がある患者、腫瘍のサイズが1cm未満だった患者、骨髄脂肪腫など腺腫ではなかった患者、褐色細胞腫だった患者、原発性アルドステロン症患者、クッシング症候群患者、過去3カ月間にグルココルチコイドの経口投与を受けた患者、吸入ステロイドまたはデキサメタゾン代謝に影響する薬剤の投与を受けている患者、エストロゲンの全身性投与を受けている患者などとした。

 主要評価項目は総死亡率とし、死因別死亡率についても検討した。副次評価項目は、主要心血管イベント(MACE;心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院、冠動脈血行再建術を合わせた複合イベント)に設定した。共変数として、年齢、性別、喫煙習慣(現在喫煙者)、心血管疾患、腎機能の低下などに関する情報を得た。追跡は、終了予定日(2018年12月31日)、手術、他国への移住、患者の死亡、MACE発生のいずれかまで継続した。アウトカムはスウェーデンの全国的な患者登録や死因登録を用いて照合した。

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