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Ann Intern Med誌から
LCIで上部消化管内視鏡の癌病変検出率が向上
通常の白色光画像と新たな画像処理法を比較した日本のRCT

 北海道大学の小野尚子氏らLCI-FIND Trial Groupは、消化管の癌のハイリスク患者を対象に上部消化管内視鏡検査を行う際の方法として、通常の白色光を用いた画像と(WLI)と、新たな技術のLinked Color Imaging(LCI)を用いた画像の、腫瘍性病変識別能力を比較するランダム化試験を行い、LCIはWLIより識別能力が高かったと報告した。結果は2020年10月20日にAnn Intern Med誌電子版に掲載された。

 上部消化管内視鏡検査の目的は、咽頭、食道、胃の癌病変を発見することにあるが、初期の病変は見逃す可能性がある。最近では、病変の発見能力を向上させるために、狭帯域光観察(NBI)や青色レーザーを用いたイメージング技術などが工夫されている。

 著者らが用いたのは、富士フイルム社のLASEREOシステムだ。このLCI技術は、波長の異なる2種類のレーザー光を用いて、赤と白の陰影のコントラストを強調し、粘膜の色のわずかな変化を見やすくするものだ。LCIの有用性を報告した研究はいくつかあったが、今回の試験は、多施設が参加する規模の大きな臨床試験で、上部消化管癌病変の検出能力を検討するために行われた。

 この試験は、日本全国から16の大学病院と癌専門医療機関3カ所が参加して実施された。組み入れ患者は2016年11月1日から2018年7月31日まで募集した。対象は、年齢が20~89歳で、これまでに消化管(咽頭、食道、胃、大腸)の癌が見つかったことがあり、定期的に上部消化管内視鏡検査を受けることになっている患者。癌が見つかって手術前に詳細な検査を行う目的で他の病院から紹介された患者も対象に含めた。何らかの理由で、内視鏡検査と生検が実施できない患者は除外した。認知症や意識障害で本人の同意が得られない患者も除外した。

 条件を満たした患者は、1対1の割合でLCI群またはWLI群に割り付けた。割り付け時に均等化を考慮した条件は、参加施設、年齢(70歳未満とそれ以上)、現在治療中の癌があるか、手術歴などだ。患者は割り付けを知らないが、内視鏡を操作する医師にはどちらの方法か分かってしまうため、オープンラベルで実施した。

 各施設では、割り付けられた方法で先に内視鏡検査を行い、所見を記録した後、画像処理方法をもう一方に変更して検査所見を記録するという手順を踏み、腫瘍性病変が疑われる部位の生検標本を採取した。

 主要評価項目は、割り付けられた検査法での、咽頭、食道、胃に1カ所以上の腫瘍性病変を持つ患者の検出率とした。副次評価項目は、割り付けられた検査法での、1カ所以上の腫瘍性病変の見落とし率とした。既に癌と診断されていた患者では、既知の病変以外の発見について比較した。また有害事象と検査時間も評価した。

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