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Ann Intern Med誌から
SGLT2阻害薬は痛風発症率を下げる
SGLT2阻害薬とGLP1受容体作動薬を新たに使い始めた患者を追跡した研究

 米国Harvard大学医学部のMichael Fralick氏らは、新たに2型糖尿病の治療でSGLT2阻害薬を使い始めた患者とGLP1受容体作動薬を使い始めた患者を比較するコホート研究を行い、SGLT2阻害薬の方が治療開始後に痛風を新規発症する患者の割合が低かったと報告した。結果はAnn Intern Med誌2020年1月14日号に掲載された。

 SGLT2阻害薬は近位尿細管でグルコースの再吸収を阻害するだけでなく、血清中の尿酸値を下げることが知られている。6万人を超える患者を対象に行われたメタアナリシスでは、SGLT2阻害薬を投与された糖尿病患者では、対照群よりも血清尿酸値が37μmol/L低いことが示されていた。しかし、尿酸値の変化が臨床的に意味のある痛風予防効果につながるかどうかは検証されていなかった。

 そこで著者らは、SGLT2阻害薬の投与が2型糖尿病患者の痛風リスクに及ぼす影響を検討するコホート研究を行うことにした。SGLT2阻害薬と異なり、GLP1受容体作動薬には血清尿酸値を下げる作用はないという報告があったことから、対照をGLP1受容体作動薬を使用している患者とし、新規使用者間での比較を行った。

 米国内の患者のデータを登録している医療データベースIBM MarketScanを利用して、2013年3月29日から2017年12月31日までに、SGLT2阻害薬またはGLP1受容体作動薬を新たに処方されていた18歳以上の成人の2型糖尿病患者を抽出した。新規処方開始日(index date)前の180日間の記録を調べ、どちらの薬も使用記録がないことを確認した。また180日間の記録で、HIV、透析を要する腎疾患、癌、1型糖尿病、痛風治療薬の使用がないことも確認した。追跡は、試験終了日、保険加入の終了日、痛風の新規発症、治療薬の中止のいずれかまで行った。最終処方分の薬がなくなる日から60日を超えて再処方がない場合を中止と判定した。

 主要評価項目は入院または外来での痛風の新規診断とした。共変数として、高血圧などの慢性疾患、糖尿病の重症度と血糖コントロール、痛風の危険因子、最近の入院や救急受診、インスリンやメトホルミンの使用、糖尿病以外の薬の使用、を調べた。傾向スコアを用いて、SGLT2コホートとGLP1コホートからベースラインの変数スコアが最も近い組み合わせを1対1の割合で選び出した。

 データベースから、期間中にどちらかの薬を新たに処方された患者は59万4528人見つかった。このうち痛風などの病歴がなく、条件を満たした患者は29万5907人で、SGLT2コホートが15万1949人、GLP1コホートが14万3958人だった。このうち傾向スコアがマッチする組み合わせができたのは、11万9530組だった。平均年齢は54歳、女性患者が52%、高血圧合併が67%、25%がインスリンを併用していた。ベースラインのHbA1cは8.6%、クレアチニンは0.89mg/dLだった。

 追跡期間の平均値は、SGLT2群が302日(SDは290)、GLP1群は261日(SDは262)だった。追跡終了日より前に治療を中止した患者の割合は、SGLT2群が45%、GLP1群は49%だった。またGLP1群の9%が途中でSGLT2阻害薬を追加されており、SGLT2群の8%が途中でGLP1受容体作動薬を追加されていた。

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