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Circ J誌から
エボロクマブの長期追跡でLDL-C低下効果の持続と安全性を確認
OSLERオープンラベルExtension試験の結果

2019/06/04
西村 多寿子=医療ライター

 動脈硬化性心血管疾患の高リスクで、スタチン治療中の患者に対し、エボロクマブの上乗せによる臨床的有効性・安全性を検討する臨床試験の延長試験として長期追跡による効果を検証したOSLER試験の結果が報告された。日本人患者を対象としたもので、エボロクマブの皮下投与(月1回または2回)により、LDLコレステロール(LDL-C)値の低下が最長で5年持続し、安全性も確認された。OSLER試験に参加した日本人患者のサブグループについて、オープンラベルでエボロクマブが投与された期間の分析結果が、Circ J誌4月25日号に掲載された。

 エボロクマブは、前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)の阻害薬であり、最大耐用量のスタチンでもLDLコレステロール(LDL-C)値低下が不十分な場合の新たな選択肢として登場した。世界規模で実施されたFOURIER試験において、エボロクマブはプラセボ群と比べて、心血管死、脳卒中、心筋梗塞の複合エンドポイントでは、相対リスクを20%低減した(1年目16%、以降25%)。日本では、エボロクマブの有効性と安全性について、最長1年まで確認されたが、長期使用のデータはまだない。

 OSLER試験は、エボロクマブに関する親試験(第II相:5件[日本のYUKAWA-1試験を含む]、第III相:7件)を完遂した患者を対象とした延長試験であり、OSLER-1試験とOSLER-2試験に分けて検討された。日本で行われたYUKAWA-1参加者307例とYUKAWA-2参加者404例のうち、556例が本試験に参加した。

 患者556例を再ランダム化し、エボロクマブ+標準治療群(370例)または標準治療群(186例)に2:1で割り付けて、それぞれ1年間投与した(標準治療対照期間)。エボロクマブの皮下投与量は、OSLER-1が420mg 1回/月、OSLER-2は140mg 1回/2週間または420mg 1回/月だった。この対照期間を完了した532例(96%)を対象に、2年から最長5年にわたり、エボロクマブ+標準治療を行った(オープン・エボロクマブ期間)。試験を完遂したのは482例(91%)、投薬治療を完了したのは457例(86%)だった。

 ベースライン時の平均年齢は60.9歳、男性61%、冠動脈心疾患(CHD)62%、冠動脈疾患(CAD)15%、心血管または末梢血管疾患13%、2型糖尿病45%、糖尿病のないメタボリックシンドローム45%だった。

 OSLER-1患者(210例)のベースラインLDL-C値の平均は、142.3mg/dLであり、既報の通り、エボロクマブ+標準治療と標準治療を比較した場合の1年目の平均変化差(SE)は-69.1%(1.2%)だった。このLDL-C値の低下傾向は、オープン・エボロクマブ期間が終了する5年目まで維持された(-58.0%[19.1%])。OSLER-2患者(304例)のベースラインLDL-C値の平均は105.0mg/dL、1年目の平均変化差(SE)は-65.1%(2.2%)で、試験が終了する3年目までLDL-C値低下が維持された(-62.7%[25.6%])。

 OSLER-1患者のベースラインHDL-C値の平均は54.8mg/dL、試験終了時の平均変化差(SD)は11.9%(19.5%)、中性脂肪のベースライン中央値は125.3㎎/dL、試験終了時の中央値の変化差は-15.7(四分位範囲:-35.3~13.9)だった。ベースラインVLDL-C値の平均は26.2mg/dL、試験終了時の平均変化差は2.0%(52.7%)、ベースラインnon-HDL-C値の平均は168.4mg/dL、試験終了時の平均変化差は-52.4%(18.9%)、ベースラインのApoA1の平均は157.1mg/dL、試験終了時の平均変化差は8.3%(12.9%)だった。OSLER-2患者についても、同様の変化傾向が認められた。

 オープン・エボロクマブ期間における、エボロクマブ+標準治療の安全性は、標準治療対照期間と類似していた。既報のとおり、1年目(対照期間)に有害事象が発生した患者は、エボロクマブ+標準治療群で74.9%、標準治療群72.0%だった。エボロクマブが使用された全期間を通して1件以上の有害事象を経験した患者は90.8%、重篤な有害事象は18.6%で投薬中止に至ったのは3.3%だった。

 中和抗薬物抗体は3例から一過性に検出された。OSLER-1試験の第一日目(YUKAWA試験ではプラセボ群に割り付け)、OSLER-1試験の1年目(YUKAWA試験でのプラセボ群に割り付け)、YUKAWA-2試験の第一日目(YUKAWA-2試験で実薬群に割り付け)のそれぞれ1人ずつで、OSLER試験の2年目から5年目の間では中和抗薬物抗体が陽性の患者はいなかった。
 
 著者は、エボロクマブ+標準治療を受けた患者では、最長5年にわたり、LDL-C値の顕著で一貫した低下が認められたとし、エボロクマブの長期使用による新たな安全性シグナルはなく、長期の安全性プロファイルは、本試験の1年目に標準治療のみを受けた群とほぼ同等だったと述べている。

 研究の限界として著者は、本研究は、オープンラベルの延長試験の分析結果であり、試験担当医師や患者は治療内容や脂質検査の結果を知っていたことを挙げている。だが、追跡期間が長く、日本の他試験や世界で実施された長期試験とも結果が一貫しているため、そのような問題は軽減される、述べている。

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