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J Am Coll Cardiol誌から
たこつぼ症候群の予後はACSと同等か
予後は発症のトリガーにより異なる

2018/09/04
難波寛子=医師

 たこつぼ症候群の国際的なレジストリーであるInternational TakotsuboInterTAK)registryのデータを解析した結果、従来、予後良好な疾患と考えられてきたたこつぼ症候群(TTS)の長期予後は急性冠症候群ACS)と同等であることが明らかになった。また、予後は発症のトリガーにより異なることも分かった。論文は、J Am Coll Cardiol誌8月21日号で発表された。同論文内では、発症のトリガーに基づく予後予測のための新分類である「InterTAK分類」が提唱されている。

 本研究はInterTAK Registryより2011年1月1日から2014年12月31日までのデータを得てチューリッヒ大学病院および9カ国25施設で行われた。TTSの定義はmodified Mayo Clinic Diagnostic Criteriaに従った。

 対照群として、Zurich Acute Coronary Syndrome Registryより年齢と性別をマッチさせてACS患者を選択した。

 TTS患者455人とACS患者455人(ST上昇型233人、非ST上昇型222人)を比較したところ、長期予後に差はなかった(P=0.49)。

 TTS患者を発症のトリガーにより、感情ストレス群、身体ストレス群、トリガー不明群に分類した。さらに、身体ストレス群を身体活動・疾病・医療処置群と神経学的ストレス群の2つに分けた。身体ストレスと感情ストレスの両方があった対象は、本解析から除外した。

身体ストレスと感情ストレスの両方があった137人を除外した後、1613人を各トリガー群に分類した。感情ストレス群は485人(30%)だった。身体ストレス群630人(39%)のうち、急性の神経学的障害があったのは98人(6%)、残る532人(33%)は身体活動・疾病・医療処置に伴ってTTSを発症していた。明らかなトリガーを認めなかったのは498人(31%)だった。

 感情ストレス群は95%が女性で、身体活動・疾病・医療処置群の85%、神経学的ストレス群の87%、トリガー不明群の91%と比較して多かった(P<0.001)。また、神経学的ストレス群は他の群と比較して有意に若かった(61.8±14.9%、P<0.001)。

トロポニン、クレアチニンキナーゼ、BNPは各群同等であったが、CRPや白血球数を含む炎症マーカーは身体活動・疾病・医療処置群と神経学的ストレス群で有意に高かった。

 入院時の心電図に群間の差はなかった。身体活動・疾病・医療処置群と神経学的ストレス群では入院時の心拍数が高く、左室駆出率が低かった(ともにP<0.001)。

 糖尿病は、身体活動・疾病・医療処置群で多く神経学的ストレス群で少なかった。悪性腫瘍は、身体活動・疾病・医療処置群と神経学的ストレス群に多かった。入院時の内服薬に群間の差はなかった。急性期循環器治療(Acute cardiac care treatment)を必要とした患者は、身体活動・疾病・医療処置群(38%)と神経学的ストレス群(50%)で有意に多かった(P<0.001)。

 30日時点での死亡率には有意な群間の差があった(P<0.001)。死亡率は神経学的ストレス群で最も高く、感情ストレス群で最も低かった。

 30日時点を起点としたランドマーク解析の結果、長期予後にも有意な群間の差を認めた(P<0.001)。身体活動・疾病・医療処置群と神経学的ストレス群はACSよりも長期予後不良であったが、感情ストレス群はACSよりも予後良好だった。感情ストレス群と比較して、身体活動・疾病・医療処置群(HR:3.78、95%信頼区間[95%CI]:2.21-6.44、P<0.001)、神経学的ストレス群(HR:5.76、95%CI:2.96-11.2、P<0.001)、トリガー不明群(HR:2.14、95%CI:1.20-3.82、P=0.010)は5年後死亡の独立した強力な危険因子だった。追加のCox回帰分析においても、身体活動・疾病・医療処置群、神経学的ストレス群、トリガー不明群は30日時点での死亡の独立した予測因子だった。

 本解析の結果より、著者らは予後予測のための新分類である「InterTAK分類」を提唱した。「InterTAK分類」は以下の通り。

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