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J Am Coll Cardiol誌から
中年の「社交式食生活」は動脈硬化の原因に
スペインのメガバンク社員を対象とした研究結果

2016/08/31
難波寛子=医師

 外食の多い「社交式(social-business)」の食生活を送る中年成人は心血管リスクが高く、動脈硬化病変を有する確率が高いことが分かった。いわゆる「地中海式」や「欧米式」と並ぶ食生活様式として「社交式」食生活を見出し、その初期の動脈硬化リスクに与える影響を確認した研究の結果で、J Am Coll Cardiol誌上で8月23日に発表された。

 食生活の様式と動脈硬化の関連を検討した報告は過去にもあるが、多くは頸動脈内膜中膜肥厚(cIMT)や冠動脈石灰化(CAC)を指標として用いており、プラークの存在を直接評価した研究は行われていない。しかし、全身疾患である動脈硬化の有無を正確に評価するためには、1カ所のみよりも多くの部位でプラークの有無を直接調べることが望ましい。

 本研究は、PESA(Progression of Early Subclinical Atherosclerosis)研究のデータを用いて行った横断研究である。PESA研究は前向き観察研究で、複数の部位で非侵襲的に診断された潜在性の動脈硬化について、その発症と進展に関わる因子を検討することを目的とする。

 PESA研究の対象はスペインにあるサンタンデール銀行の従業員で、心血管疾患の既往のない40歳から54歳までの男女4082人。ベースライン時に血管超音波検査と造影なしのCT撮影を行い、3年後と6年後に経過を確認した。経過観察では問診と診察に加えて空腹時の血液検査、尿検査、12誘導心電図を施行した。対象のうちデータ不足であった26人と非現実的な摂取カロリーを申告した4人を除外して、最終的な解析の対象は4052人となった。

 スペイン人において妥当性が検討済である質問票を用いて、訓練を受けた栄養士が対象の習慣的な食物摂取を評価した。対象は、過去1年間に習慣的に摂取した食品を申告した。少なくとも15日に1回食べていれば「習慣的な摂取」とした。対象は、1週間の典型的な食事を報告するよう指導された。申告の質を担保するため、申告されたエネルギー摂取が非現実的である場合や、主な食品が漏れていると思われる場合には警告を出した。

 申告された食物を21のグループに分類して因子分析を行った。得られた因子得点をもとにクラスター分析を行い、対象を食物摂取パターンにより互いに独立した重複のないクラスターに分けた。当初2~4パターンのクラスターを検討したが、3つのクラスターを用いた評価が最適であることが分かった。

 プラークの有無および状態は、頸動脈、腎動脈下腹部大動脈、両側腸骨動脈および大腿動脈周辺において超音波で評価した。動脈内腔への突出が0.5mmまたは周囲の内膜中膜厚の50%以上、または中膜と外膜の境界から内膜と内腔の境界までの厚さが1.5mm以上である場合に「プラークあり」とした。CACについてはCTの結果をもとにAgatstonスコアを算出した。少なくとも1カ所で「プラークあり」またはCACスコアが1以上であれば「潜在性プラークあり」とした。動脈硬化の広がりは、限局性(1つの評価部位のみで動脈硬化が認められる)、中等度進展(2~3カ所)、全身性(4~6カ所)に分けた。

 クラスター分析により得られた第1群は1615人(40%)で、果物と野菜、全粒穀物、オリーブ油を最も多く摂取していた。低脂肪の乳製品、脂肪の少ない肉、魚の摂取も多く、加工肉が少なかった(地中海式。図1)。コーヒーと紅茶も第1群で最も摂取が多かった。第1群は食物繊維、カリウム、カロチン、ビタミンAを除くビタミンが豊富で、飽和脂肪酸の少ない食事をしていた。

 第2群は1668人(41%)。精製された穀物、豆類、乳製品、甘い物を多く摂取していた。赤身の肉とレトルト食品も多く摂取していた。第2群は飽和脂肪酸、炭水化物、食物繊維、鉄分、塩分の摂取も多かった(欧米式。図1)。

 第3群は769人(19%)で、赤身の肉、貝類、レトルト食品、つまみ類(オリーブのピクルスや塩味のナッツを含む)、さらにスナック類の摂取が多かった。アルコール飲料や甘味飲料の摂取も多かった。タンパク質全体と動物由来タンパク質、脂肪、コレステロール、アルコール、鉄分、塩分、リン、ビタミンB3とB12も多く摂取していた(社交式。図1)。

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