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Eur Heart J誌から
ORBITスコアは臨床での大出血リスク評価に有用
AF患者の出血リスクを簡便に評価

2015/12/28
西村 多寿子=医療ライター

 心房細動AF)患者を対象とした臨床での簡便な出血リスク評価法として、予測因子5項目(0~7点)からなるORBITスコアを開発し、既存の出血スコアであるHAS-BLEDやATRIAと比較したところ、ORBITは他の出血スコアよりも大出血の予測能に優れていた。この結果は、Eur Heart J誌12月7日号に掲載された。

 AF患者に対する最適な抗凝固療法を検討する際に、出血リスクの評価は大きな課題である。先行研究では、臨床医の出血リスク評価は正確さに欠けたり、リスクを低く見積ったりする傾向があると指摘されている。実臨床ではシンプルな評価方法が望ましいが、既存の出血スコアは、一部の外来患者にとって未検査の項目が含まれており、使用に当たっての限界が指摘されている。

 そこで著者らは、米国176施設のAF患者を登録した臨床レジストリであるORBIT-AF(Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation)を用いて、抗凝固療法を受けているAF患者における大出血発生を予測する新しいスコアを開発した。さらにこの新スコアを既存の2つの出血スコア(HAS-BLEDとATRIA)と比較するとともに、ROCKET-AF試験の登録患者において外的妥当性を検討した。

 経口抗凝固薬を服用しているORBIT-AF登録患者(7411例)のベースラインにおける年齢中央値は75歳(四分位範囲[IQR]:68-82)、女性比率は42.4%であり、ワルファリン治療を受けている患者は93.5%、ダビガトランは6.5%だった。追跡期間の中央値は2年(IQR:1.6-2.5)で、大出血イベントは581例(100患者・年当たり4.0件)だった。大出血のあった患者群は、それ以外の患者群と比較して、年齢が高く、白人、女性が多かった

 大出血経験者は、未経験者に比べて、併存疾患の保有率が高く、貧血、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うっ血性心不全、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸、慢性腎臓病が多く、CHA2DS2‐VASCスコアも高かった(5[IQR:4-6] vs. 4[IQR:3-5])。

 著者らが作成した連続量の出血モデル(連続量ORBIT)は、次に挙げる独立した予測因子で構成されていた。抗血小板療法(アスピリン、チカグレロル、プラスグレル、クロピドグレル、アスピリン・ジピリダモール併用)、過去の出血(ベースライン時に報告された消化管出血、頭蓋内出血、脳出血)、年齢、推定糸球体ろ過量(eGFR)、慢性心不全の既往、癌、COPD、貧血/ヘモグロビン異常(男性13mg/dL未満、女性12mg/dL未満)またはヘマトクリット異常(男性40%未満、女性36%未満)、股関節骨折または骨粗鬆症の既往、喫煙状況。

 上記の連続量のモデルを構築した後、大出血の最も強い予測因子5項目から成り、関連の強さによって重み付けされた「ORBIT出血スコア」を作成した(表1)。

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