日経メディカルのロゴ画像

Ann Intern Med誌から
腋窩での体温測定は発熱の感度がわずか42%
体温計の末梢体温と深部体温の間には容認できない差が存在する可能性

 臨床的な意志決定に影響を与える正確な体温の決定には、末梢で測定する体温計を用いるべきではないという研究が報告された。外来や一般家庭で用いられる機会の多い、鼓膜腋窩口腔内などの体温測定は、深部体温を正確に反映しないというものだ。これは、カナダCalgary大学のDaniel J. Niven氏らが、成人と小児の深部体温の推定における末梢体温計の精度を明らかにするため、系統的レビューとメタアナリシスを実施して得られた結論で、Ann Intern Med誌2015年11月17日号に報告された。

 発熱と低体温には疾病特性や状況により定義が異なる場合もあるが、一般に38.0度以上になると発熱ありとされ、36.0度を下回ると低体温とされる。体温が診断基準や治療方針のガイドラインの判定項目に用いられている場合も多数あり、正確な体温測定は臨床的な意志決定に大きな影響を与える。そこで著者らは、深部体温を基準として、末梢式の体温計による測定精度を検討するためにメタアナリシスを行った。

 対象はMEDLINE、EMBASE、コクランセントラル、CINAHL Plusに、2015年7月までに登録された前向き研究で、末梢体温(鼓膜、側頭動脈、腋窩、口腔内)と深部体温(肺動脈カテーテル、膀胱、食道、直腸)の温度を比較したRCTやコホート研究などを選んだ。臨床的に状況にそぐわない研究(健康人のボランティアによるものや動物での研究、非接触式の赤外線体温計を用いていた研究など)は除外した。その結果、21カ国で行われた75件の研究(8682人を登録)を分析対象に組み入れた。42件が成人、32件は小児、1件は両方を対象としていた。成人群の年齢の中央値は61歳、小児群では生後16カ月だった。


 主要評価項目は末梢体温と深部体温の差とし、誤差範囲を「測定値の平均差(末梢体温-深部体温)±差の標準偏差の2倍」の式を用いて算出し、臨床的に容認できる95%誤差範囲は±0.5℃までとした。まず肺動脈カテーテルを深部体温のゴールドスタンダードとして、ほかの深部体温との平均誤差と95%誤差範囲を調べたところ、いずれも臨床的に許容できる誤差範囲に収まった膀胱-0.002℃(-0.120から0.120)、食道-0.003℃(-0.310から0.120)、直腸-0.10℃(-0.24から0.04)。

この記事を読んでいる人におすすめ