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Circulation誌から
身体活動の頻度を上げても、さらなるリスク低下は見られず
英国女性を対象とした大規模プロスペクティブ研究成果

2015/03/12
山田 裕紀子=メディカルライター

 身体活動は一般的に血管疾患のリスク低下と関連することが分かっているが、血管疾患それぞれと身体活動の種類や頻度との関連に関してはエビデンスが不十分だった。プロスペクティブなコホート研究であるMillion Women Studyでは、約110万人の女性を対象に、冠動脈心疾患、脳血管疾患、静脈血栓塞栓症の発症リスクと身体活動の種類や頻度との関連が検討された。その結果、上記3つの疾患とも、身体活動の頻度が毎日の場合よりも週2~3回もしくは4~6回の方がリスクが低く、身体活動の頻度を上げてもさらにリスクが低下することはないことが示唆された。この結果は、Circulation誌2月16日号オンライン版に掲載された。

 1996年から2001年までに、英国とスコットランドの国民保健サービス(NHS)の乳癌スクリーニング・クリニックを受診した50~64歳の女性をMillion Women Studyに登録した。

 身体活動について評価する質問紙調査を登録時と登録から3年後の計2回実施した。登録時には、激しい身体活動と身体活動全般の頻度について質問した。激しい身体活動は、発汗および心拍数の上昇を引き起こす活動と定義した。頻度は6段階で評価した(めったに/まったくしない、週1回未満、週1回、週2~3回、週4~6回、毎日)。3年後の再調査では、家事、ガーデニング、ウォーキング、サイクリングに費やした週当たりの時間について質問した。

 全女性のデータは、個人のNHS識別ナンバーなどを用いて、英国の国家統計局の死因別死亡のデータと英国のHospital Episodes Statistics、スコットランドのScottish Morbidity Recordsの入院データ(日帰り入院を含める)に関連づけ、研究登録後に発生した冠動脈心疾患(CHD)、脳血管疾患、静脈血栓塞栓症(VTE)による初回入院または死亡を同定した。

 最終的に111万9239人の女性をベースライン以降の解析対象とし、49万7857人を3年後の再調査以降の解析対象とした。ベースラインでの平均年齢は55.9±4.8歳だった。

 ベースラインから平均9年(中央値:9年、四分位範囲:8~10年)の追跡期間中に、4万9113人がCHDを発症し、1万7822人が脳血管疾患(1774人がクモ膜下出血、1791人が脳内出血、5993人が脳梗塞)、1万4550人がVTE(7712人が肺塞栓を伴わない静脈血栓症、7013人が肺塞栓症を伴う静脈血栓症)を発症した。

 ベースラインでの激しい身体活動または身体活動全般の頻度は、年齢、BMI、喫煙状態、社会経済的地位などの交絡因子を補正しても、全体的にCHD、脳血管疾患、VTEのリスク低下と関連しており、非活動的な女性と比較すると、週数回の適度な身体活動を行っている女性の血管疾患リスクが低かった。

 この身体活動の頻度と各血管疾患リスクの関係はU字型(図1)で、リスクは激しい活動または身体活動全般の頻度の増加に伴って段階的に低下しておらず、身体活動の頻度を毎日と回答した群ではリスクが上昇していた。

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