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J Am Coll Cardiol Heart Failure誌から
心不全患者のコエンザイムQ10補給は有用
2年間でMACE、NYHA機能分類に有意な改善

 中等度~重度心不全(HF)患者への標準治療にコエンザイムQ10(CoQ10)を上乗せすると症状が軽減しMACEが減少することが、十分な検出力を備えた初の多施設二重盲検ランダム化比較試験(Q-SYMBIO試験)の結果から示された。HFに対する現行の標準治療では基質利用およびエネルギー供給の欠陥を補いきれないため、CoQ10補給は有望な補助療法となる可能性がある。この結果は、J Am Coll Cardiol Heart Failure誌12月号に掲載された。

 HFの原因は多数あるが、心筋細胞のエネルギー欠乏を来す生体エネルギー変換系の機能不全が重要な機序となっている可能性が指摘されている。CoQ10は強力な脂溶性抗酸化物質であるとともに、電子伝達系の酸化還元およびアデノシン三リン酸合成の中心的要素でもある。

 今回のQ-SYMBIO試験は、2003~2010年の間に欧州、アジアおよびオーストラリアの17の医療施設で実施された。

 短期(16週)および長期(106週)で評価項目を設定し、intention to- treatベースで検証した。

 短期間の主要評価項目はNYHA機能分類、複合エンドポイント、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、副次評価項目は呼吸困難、疲労感および症状の変化を評価する視覚的アナログ尺度(VAS)スコアとした。

 長期間の主要評価項目は複合MACE(HF増悪による予期せぬ入院、心血管死、補助人工心臓装着または緊急心臓移植のいずれか)、副次評価項目はNYHA機能分類、NT-proBNP、心エコー検査および死亡とした。

 対象はNYHA機能分類IIIまたはIVの慢性HF患者とし、具体的な駆出率(EF)によるカットオフ値を設定しなかった。

 χ2検定で治療効果のP値を計算し、さらにカプラン-マイヤー法を用いて各評価項目の累積発生率曲線を作成して、コックス比例ハザード回帰モデルで解析した。その後さらに感度解析を実施した。

 計420例をCoQ10群(202例)またはプラセボ群(218例)にランダム化した。36例(CoQ10群;22例、プラセボ群;14例)が途中離脱したが、解析対象から除外しなかった。

 両群の患者背景に差はなく、HF罹病期間は平均約3年、EFは平均31%だった。患者の90%にACE阻害薬またはARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)が、75%にβ遮断薬が、それぞれ投与されていた。

 16週目に、両群のNYHA機能分類、VASスコアおよび6分間歩行距離(6MWT)に改善が認められた。しかし、群間差は有意ではなかった。CoQ10群では血中CoQ10濃度がベースラインの約3倍にまで有意に上昇していた。一方、血中NT-proBNP濃度の短期的変化に有意な群間差は認められなかった。

 106週目のMACE発生率はCoQ10群(30例、15%)の方がプラセボ群(57例、26%)より有意に低く(図1)、43%の相対的減少だった(P=0.005)。

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