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Ann Intern Med誌から
透析不要のCKD患者の血圧下げすぎは死亡リスク上昇に関係
最適な血圧は130~159/70~89mmHg、米国の退役軍人のデータ分析の結果

 定期的な透析を必要としない慢性腎臓病CKD)患者の死亡率が最も低くなる血圧値を同定すべく、米国の退役軍人のデータを分析した研究で、最適な血圧は130~159/70~89mmHgであることが明らかになった。米Memphis退役軍人医療センターのCsaba P. Kovesdy氏らが、Annals of Internal Medicine誌2013年8月20日号に報告した。

 高血圧治療のガイドラインは収縮期血圧SBP)を下げることを優先している。しかし、拡張期血圧DBP)が低すぎると死亡リスクが上昇する可能性が示されており、もともとDBPが低い患者にとっては、SBPに焦点を当てた降圧治療は有害になり得る。

 CKD患者は血管の硬さが増し、アテローム性動脈硬化が進んでいる場合が多く、血圧を適切に管理する必要性は高いが、目標とする血圧値は明らかでなかった。KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcomes)のガイドラインは、蛋白尿のないCKD患者の血圧の目標値は140/90mmHg未満、微量アルブミン尿またはマクロアルブミン尿が認められる患者では130/80mmHg未満としているが、このガイドラインもSBPを下げることを強調し、並行して起こるDBPの低下の臨床的な影響は考慮していない。CKD患者にとって安全なDBPがどの程度かも現時点では分かっていない。

 そこで著者らは米国の退役軍人を対象に、CKD患者の血圧と死亡の関係を調べた。

 04年10月~06年9月に測定された血清クレアチニン値を基に、推算糸球体濾過量eGFR)を算出。その値と微量アルブミン尿/クレアチニン比に基づき、CKDかどうかを判定した。

 分析対象になったのは、CKDの退役軍人65万1749人(平均年齢73.8歳、平均eGFRは50.4mL/分/1.73m2)で、これらの患者を死亡または12年4月30日まで追跡した。追跡期間の中央値は5.8年だった。

 追跡期間中に、計1854万5929回の血圧測定が行われていた(1人当たりの測定回数の中央値は15回)。ベースラインの血圧値の平均はSBPが135mmHg、DBPが72mmHgだった。追跡期間中にSBPが140mmHg超でDBPが70mmHg未満という測定値が1回以上記録されていた患者は21万1635人(32.5%)いた。

 23万8640人が死亡しており、死亡率は1000人-年当たり73.5(95%信頼区間73.2-73.8)だった。血圧値と全死因死亡との関係は、交絡因子(年齢、性別、人種、糖尿病、冠動脈疾患、脳血管疾患、慢性心不全、Charlson併存疾患指数、降圧薬の種類、eGFR、コレステロール値など)で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。

 SBP、DBPのそれぞれと死亡の関係を調べると、SBPは140~160mmHgで死亡の多変量調整相対ハザードが最も低くなるU字型のカーブを描き、DBPは80~90mmHgで最も低くなるJ字型のカーブを描いた。

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