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Ann Intern Med誌より
無症候性頸動脈狭窄への薬物療法、内膜剥離、ステント留置の優劣は不明
最新薬物療法と比較した研究なく、エビデンス不十分

 無症候頸動脈狭窄に対する薬物療法、頸動脈内膜剥離術CEA)、頸動脈ステント留置術CAS)のうち、どの治療が最も脳卒中予防効果が高いかを示す質の高いエビデンスはないことが示された。米Tufts Medical CenterのGowri Raman氏らが行った系統的レビューとメタ解析の結果で、Annals of Internal Medicine誌2013年5月7日号に報告された。

 頸動脈狭窄は虚血性脳卒中の危険因子だが、狭窄が症状をもたらさずに進行することがあり、最初の症状が致死的脳卒中となる患者が存在する。無症候でも狭窄がある側の脳動脈における虚血性脳卒中リスクが高まる、すなわち臨床的に意義のある狭窄は50~60%超と定義されている。成人の無症候性患者では同側の虚血性脳卒中リスクは年間2~5%と報告されているが、それらは、現在用いられている薬物療法の登場前に行われた研究の結果に基づく推定値だ。

 米国では無症候性頸動脈狭窄スクリーニングは推奨されていないが、非侵襲的なスクリーニングの実施件数は増加している。米国で1年間に行われる頸動脈狭窄に対する血行再建術は約12万4000件で、うち89%がCEA、11%がCASとなっているが、近年、CASの実施数が増加している。治療の目的は、脳卒中と脳卒中関連死亡のリスク低減にあるが、現時点でどの治療が最も有効で安全かは明らかでない。そこで著者らは、系統的レビューにより、無症候性頸動脈狭窄患者に対する3通りの治療を比較した。

 ランダム化比較試験(RCT)、または前向き/後ろ向きの非ランダム化比較研究(NRCS)として、無症候性頸動脈狭窄症の成人患者を登録し、薬物療法のみと、CEAと薬物療法の併用、CASと薬物療法の併用のいずれか2つ以上の転帰を比較し、各群の登録患者数が30人以上だった研究を統計的レビューの対象とした。研究は、MEDLINE、コクランセントラルに12年12月末までに登録されたものと、米食品医薬品局のウェブサイトなどから選出した。

 また、薬物療法の内容が近年変化していることから、最新の薬物療法を用いた場合の脳卒中発生率を知るために、30人以上を対象にしたシングルアームの前向きコホート研究で、薬物療法のみを受けた患者を12カ月以上追跡した研究も選出した。

 CASと薬物療法の併用群(CAS群)と、CEAと薬物療法の併用群(CEA群)の30日時点の転帰を報告していたのは、3件のRCTと7件のNRCSだった。

 RCTのうち、2つ(バイアスリスクは「低」が1件[CREST試験]、「中」が1件[SAPPHIRE試験])ではいずれも、あらゆる脳卒中または死亡はCAS群に多く、心筋梗塞はCEA群に多いという結果だった。もう一件のRCTでは、脳血管イベントの発生に差はなかった。

 臨床データを分析した2つのNRCS(バイアスリスクは「中」が1件、「高」が1件)を対象とするメタ解析の結果は、CEA群に比べてCAS群で脳卒中リスクが低い傾向を示した。登録データを分析した4つのNRCS(バイアスリスクは全て「高」)をメタ解析すると、CEA群に比べてCAS群で脳卒中と死亡が有意に多いことが示された。

 長期的な転帰を報告していたのは、3件のRCTと3件のNRCSだった。1件のRCTは脳血管イベントについて報告していなかったため、2件(CREST試験とSAPPHIRE試験)を分析したところ、いずれも同側の脳卒中(30日以内のあらゆる脳卒中を含む)、あらゆる脳卒中(30日以内のあらゆる死亡を含む)、同側脳卒中を含む複合イベント(30日以内のあらゆる脳卒中や心筋梗塞、死亡を含む)、死亡の発生率に有意差は見られなかった。

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