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Ann Intern Med誌から
サリドマイドが特発性肺線維症の咳軽減に有効
偽薬に比べ咳特異的QOLや咳の重症度を有意に改善

 特発性肺線維症IPF)の患者を苦しめるサリドマイドが有効であることが、二重盲検の無作為化クロスオーバー試験で示された。米Johns Hopkins大学のMaureen R. Horton氏らが、Ann Intern Med誌2012年9月18日号に報告した。

 IPFは、進行性の致死的な疾患だ。原因は不明で有効な治療法もなく、患者の多くが診断から3~5年で死亡する。80%以上の患者に咳の持続が見られ、先に行われた研究では、咳が病気の進行と死亡の独立した予測因子である可能性が示されている。

 IPFの咳の原因は不明で、治療法もない。免疫系の機能不全が関与する可能性が考えられているが、これまでに試された免疫調節薬はIPFの進行や咳に影響を与えなかった。サリドマイドは強力な免疫調節薬で、抗炎症作用や抗血管新生作用を持つことから、著者らは、IPFにサリドマイドを用いるオープンラベルの臨床試験を先に行い、咳に対する効果を示唆する結果を得ていた。

 今回著者らは、IPF患者の咳の抑制におけるサリドマイドの効果を検証するクロスオーバー試験を、Johns Hopkins大学医学部の付属施設で行った。08年2月から11年3月まで、50歳超で、IPFの症状の持続期間が3カ月以上5年以下で、咳が8週間を超えて持続しており、QOLに悪影響が見られる人々を選出。さらに、FVC(努力肺活量)が予測値の40~90%、TLC(全肺気量)が予測値の40~80%、DLco(肺拡散能)が予測値の30~90%を組み入れ条件とした。妊婦・生殖年齢の女性などは除外した。

 98人の患者をスクリーニングし、24人を選んで無作為にサリドマイド50mg(12人)または偽薬(12人)に割り付け、12週間投与した。その後、2週間のウォッシュアウト期間を経て、もう一方の割り付け薬を12週間使用した。サリドマイドによる便秘を防ぐために、全員にドキュセートナトリウム100mgを処方した。投与開始から2週間の時点で咳症状に改善が見られない患者については、サリドマイドまたは偽薬の用量を100mgに増量した(サリドマイド使用中の22人中21人、偽薬使用中の23人全員が増量を必要とした)。

 主要エンドポイントは咳特異的QOLとし、Couch Quality of Life Questionnaire(CQLQ)を用いて評価した。2次評価指標は、VAS 100mmを用いた咳の重症度とSt. George呼吸器質問票(SGRQ)のスコアに設定。これらの評価指標は全て、低スコアほど良好を示す。SGRQは三要素(symptoms/症状、activity/活動性、impact/影響)からなり、それぞれの要素のスコアと総スコアは全て0~100で、4ポイント以上の変化を臨床的に意義があると判断する。

 実際に割り付け薬を使用したのは23人だった。78.3%が男性で平均年齢は67.6歳、IPF診断から平均20.5カ月経過しており、FVCの平均は予測値の70.4%だった。このうち20人が治療を完了した。

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