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Arch Intern Med誌から
消化管出血後のワルファリン再開は利益がリスクを上回る
90日の追跡調査で、再開なしの患者は血栓症と死亡のリスクが上昇

 ワルファリン使用中に消化管出血を起こした患者は、ワルファリン投与を中止する方が良いのか。再開するならいつが良いのか―。そんな疑問を検証するために後ろ向きコホート研究を行った米Kaiser Permanente ColoradoのDaniel M. Witt氏らは、ワルファリン使用再開の利益はリスクを上回ることを示す結果を、Arch Intern Med誌電子版に2012年9月17日に報告した。

 ワルファリン使用者の消化管出血の年間罹患率は4.5%で、大出血が起こると生命が脅かされる。消化管出血を経験した患者がワルファリンを再開すれば、消化管出血のリスクは上昇する。一方で、ワルファリンの使用を再開しなければ、血栓塞栓症のリスクは上昇する。これまで、大出血後間もなくワルファリンを再開しても安全であると報告した研究はいくつかあったが、質の高いエビデンスはなかった。

 著者らは、ワルファリン使用中に消化管出血を起こし、その後ワルファリンの使用を再開した患者と再開しなかった患者を対象に、出血から90日以内の血栓症の罹患、消化管出血の再発、死亡のリスクを比較する後ろ向き研究を実施した。

 非営利の医療保険グループであるKaiser Permanente Colorado(KPCO)が蓄積している管理データと臨床データの中から、05年1月1日から08年12月31日までに、ワルファリン使用中に消化管出血(臨床的に明白な出血)で入院または救急部門を受診した患者の情報を抽出。そのうち、消化管出血発生前6カ月以内に消化管出血という診断を受けておらず、消化管出血発生の180日前から発生後90日まで継続的にKPCOの会員だった人々(発生から90日経たないうちに死亡した患者も対象に含めた)を分析対象とした。

 ワルファリン使用中に消化管出血を経験した患者を、その後ワルファリンの使用を再開したグループとしなかったグループに分けて90日後まで追跡した。消化管出血の管理や重症度にかかわる変数の情報も得た。

 主要転帰評価指標は、消化管出血から90日以内の血栓症(脳卒中、全身性塞栓症、静脈血栓塞栓症)、消化管出血の再発、全死因死亡とし、カプランマイヤー法を用いた生存分析を実施。交絡因子候補で調整してCox比例ハザード分析を行った。

 442人の患者を分析対象にした。ワルファリンの投与目的は、心房細動関連の脳卒中または全身性塞栓症の予防(50.5%)、静脈血栓塞栓症の治療または二次予防(24.4%)、人工心臓弁の血栓塞栓性合併症の予防(9.5%)などだった。

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