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Arch Intern Med誌から
術前の低ナトリウム血症は術後死亡の予測因子
冠イベント、肺炎、創感染のリスクも上昇、約100万人を対象とする観察研究

 術前低ナトリウム血症があると、術後30日の全死因死亡、冠イベント、肺炎、創感染のリスクが有意に高くなることが、大規模観察研究で明らかになった。米Brigham and Women’s HospitalのAlexander A. Leung氏らが、Arch Intern Med誌電子版に2012年9月10日に報告した。

 低ナトリウム血症は広く見られる現象で、様々な疾患の患者の合併症と死亡のリスク上昇と関連することが知られている。例えば入院患者では、低ナトリウム血症は死亡リスクの上昇や入院期間の延長に関係することが示されている。だが、術前の低ナトリウム血症と術後の転帰との関わりについては明らかになっていなかった。

 術前の低ナトリウム血症が術後の転帰不要に関係しているなら、血清ナトリウム濃度を測定し患者を層別化して、合併症などに備えることが可能であり、術前に介入が可能なら、術後の転帰不良を回避できる可能性もある。そう考えた著者らは、様々な手術を受ける患者の術前の低ナトリウム血症が、術後30日間の合併症と死亡のリスクに関係するかどうかを調べるコホート研究を行った。

 米国外科学会(ACS)のNSQIP(National Surgical Quality Improvement Program)データベースを用いて、200を超える病院で05年1月1日から10年12月31日までに大手術を受けた患者の中から、18歳以上の人々の情報を得た。急性外傷患者、移植のドナーとレシピエント、過去30日間に別の大手術を受けていた患者などは除外した。

 低ナトリウム血症は、血清ナトリウム濃度が135mEq/L未満とし、130~134mEq/Lを軽症、130mEq/L未満を中等症または重症とした。術前の血清ナトリウム値が記録されていなかった患者と高ナトリウム血症(145mEq/L以上)の患者は、主要な分析の対象から除外した。

 条件を満たした96万4263人について、生年月日、性別、手術の内容、身長、体重、喫煙歴、飲酒歴、身体機能、国際麻酔学会術前状態分類(ASA分類)、合併症歴(糖尿病、肺疾患、肝胆疾患、心疾患、腎疾患、脳血管疾患など)、術前の生理学的検査値(血清ナトリウム濃度、クレアチニン値)に関する情報を抽出した。

 主要転帰評価指標は、手術から30日以内の全死因死亡(術中死も含む)に、2次評価指標は、手術から30日以内(術中発生も含む)の主要な冠イベント(心筋梗塞または心停止)、脳卒中、術後創感染、肺炎とし、多変量ロジスティック回帰分析により相対リスクを求めた。また、平均入院期間の比較には区分回帰法(quantile regression)を用いた。

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