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Ann Intern Med誌から
透析導入前であればCKD患者にもスタチンは有益
死亡と心血管リスクが有意に低下、メタ分析の結果

 慢性腎臓病CKD)患者がスタチンから得られる利益はステージによって異なり、透析導入前の患者では死亡と心血管イベントのリスクが有意に低下するが、透析を受けている患者には有意な利益は見られない―。そんな結果が、最新の系統的レビューとメタ分析で得られた。ニュージーランドOtago大学のSuetonia C. Palmer氏らが、Ann Intern Med誌2012年8月21日号に報告した。

 CKD患者に対するスタチンの利益は明確ではなく、現在のところ、米食品医薬品局(FDA)はCKD患者をスタチンの適応にしていない。その理由としては、これまでに行われた個々の研究が十分な検出力を持っていなかったこと、スタチンの影響はCKDの重症度によって異なる可能性があることなどが想定されている。

 著者らは、成人のCKD患者にスタチンがもたらす利益と害を明らかにし、CKDのステージによってスタチンの影響が異なるかどうかを知るために、スタチンと偽薬または治療なしを比較していた研究と、異なるスタチン同士を比較していた研究の中から、死亡と心血管イベントについて報告していた無作為化試験を選び、メタ分析を実施した。

 コクランとEMBASEに12年2月までに登録された無作為化試験の中から、条件を満たすものを選出した。うち、80件の研究(5万1099人を登録、86件の比較を実施)が、スタチンと偽薬または治療なしを比較していた。異なるスタチン同士を比較していた研究からは十分なデータが得られなかったため、今回は分析対象にしなかった。

 86件の比較のうち48件は、透析を受けていない患者3万9820人を対象にしていた。21件の比較は透析患者7982人を対象にしており、17件は腎移植患者3297人について分析していた。また、事後解析を行い、透析を受けていない患者3万897人に関する情報を提供していた研究が10件あった。

 追跡期間の中央値は6カ月(2カ月~5.5年)で、用いられたスタチンの用量は、60件の比較においてシンバスタチン20mg以下に相当する量だった。

 スタチンの影響は、CKDのステージによって異なっていた。質が高い、または中等度の質の研究についてメタ分析したところ、透析を受けていない患者について、スタチンは全死因死亡リスクを低下させ、心血管死亡と心血管イベントも有意に減らすことが示された。全死因死亡の相対リスクは0.81(95%信頼区間0.74-0.88、11件の研究)、心血管死亡は0.78(0.68-0.89、8件)、心血管イベントは0.76(0.73-0.80、14件)。

 一方、透析を受けている患者の全死因死亡(0.96、0.88-1.04、13件)、心血管死亡(0.94、0.82-1.07、13件)、心血管イベント(0.95、0.87-1.03、4件)にはスタチンによる有意なリスク低下は見られなかった。

 腎臓移植を受けた患者を登録した研究の質は全体として低く、スタチンの影響は明らかにならなかった。

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