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Arch Intern Med誌から
高感度心臓トロポニンT検査で受診後1時間のAMI診断が可能に
受診時の値と1時間後の絶対変化を組み合わせた簡便なアルゴリズムを開発

 急性胸痛患者の受診時の高感度心臓トロポニンThs-cTnT)値と、1時間後のhs-cTnT値の絶対変化を組み合わせたシンプルなアルゴリズムで、高精度に急性心筋梗塞AMI)の診断または除外が可能になる―。そんな研究結果を、スイスBasel大学病院のTobias Reichlin氏らが、2012年8月13日のArch Intern Med誌電子版に報告した。

 高感度心臓トロポニン(hs-cTn)検査は、心電図と共に、AMIの早期診断において重要なツールと考えられている。だが、日常診療においてどのように利用すれば最も利益が大きいのかは明らかではなかった。著者らは、急性の胸痛を訴えて救急部門を受診した患者のAMI診断に役立つアルゴリズムの作成を目的に、前向き多施設試験APACEを実施した。

 06年4月から09年6月までに、胸痛の発現または最も強い胸痛を経験した時点から12時間以内に、Basel大学病院の救急部門を受診した患者のうち、hs-cTnTが受診時と1時間後に盲検下で測定されていた872人を分析対象にした。診断がST上昇心筋梗塞(STEMI)だった患者については、心臓バイオマーカーの臨床的な価値が限られているため、今回の分析から除外した。

 最終的な診断は、2人の心臓専門医が別々に下した。872人のうち、最終診断がAMIだった患者は147人(17%)、不安定狭心症は104人(12%)、冠動脈疾患以外に由来する心臓の症状だった患者が128人(15%)、心臓以外に由来する症状だった患者は416人(48%)で、原因不明が77人(9%)いた。

 ベースラインのhs-cTnT値はAMI群で有意に高かった。

 まず、872人から無作為に選んだ436人を導出コホートとし、ベースラインのhs-cTnT値と最初の1時間の絶対変化を組み合わせたアルゴリズムを作成した。

 除外のためのカットオフ値を、感度が100%、陰性予測値も100%になるよう選んだところ、ベースラインのhs-cTnT値が12ng/L未満、かつ1時間後までの変化が3ng/L未満となった。

 AMI診断については、CART(分類木と回帰木)分析によって最適のカットオフ値を決定したところ、ベースラインのhs-cTnT値が52ng/L以上、または、1時間後までの変化が5ng/L以上のいずれかになった。このカットオフ値を用いた場合のAMI診断の特異度は92%、陽性予測値は69%になった。年齢、性別、心電図に現れた虚血性の変化、症状発現からの時間をCART分析に組み入れても診断精度の改善は見られなかった。

 除外基準と診断基準のいずれにも当てはまらない値を示した患者は観察群とした。

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