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Arch Intern Med誌から
適度な運動は糖尿病患者の死亡リスク低減に関係

 日常生活の中で適度に運動している糖尿病患者は、身体活動が不活発な糖尿病患者に比べて全死因死亡と心血管死亡のリスクが有意に低いことが、欧州の大規模前向きコホート研究とメタ分析で明らかになった。独German Institute of Human Nutrition Potsdam-RehbruckeのDiewertje Sluik氏らが、Arch Intern Med誌電子版に2012年8月6日に報告した。

 運動は糖尿病の合併症予防に役立つと考えられており、「1週間に中等度から高度の有酸素運動を150分以上実施する」といった具体的なアドバイスが行われている。

 これまで、一般集団においては、身体活動量が高い人々の全死因死亡と心血管死亡のリスクは活動量が低い人々より低いことが示されていた。だが、糖尿病患者については、こうした関係に関する質の高いエビデンスはなかった。

 そこで著者らは、身体活動と糖尿病患者の死亡の関係を調べる大規模前向きコホート研究を実施し、さらに既存の12件の研究を対象とするメタ分析も行った。

 コホート研究は、欧州の10カ国で進行中のEPICスタディに登録された患者を対象に行われた。EPICは、35~70歳の男女51万9978人を登録、追跡している。著者らは、登録者の中からベースライン(1992~2000年)で糖尿病と診断された6412人を抽出し、条件を満たした5859人を今回の分析対象とした。

 ベースラインで、患者の生活習慣に関する調査が行われていた。身体活動量を推定するための質問では、過去1年間の職業上の活動と、家事、日曜大工などのDIY活動、ウォーキング、サイクリング、ガーデニング、その他のスポーツの実施時間と頻度を尋ねていた。

 身体活動総量はCambridge Physical Activity Indexを用いて推定した。具体的には、自己申告による職業上の活動レベルと、1週間にサイクリングとスポーツに費やした時間を合わせて、患者を4群(inactive、moderately inactive、moderately active、active)に分けた。1793人がinactive、1897人がmoderately inactive、1171人がmoderately active、998人がactiveに分類された。

 余暇の身体活動は、ウォーキング、サイクリング、ガーデニング、スポーツ、家事、DIYとし、それらを行った時間と頻度を調べた。活動の強度はMETs(身体活動の強度を表す単位で、運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍に当たるかを示す)を用いて評価し、ウォーキングと家事は3、スポーツは6とした。

 著者らは、全ての身体活動、余暇に行われる身体活動、ウォーキングに限定した身体活動の3通りについて、それぞれのレベルと心血管疾患死亡、全死因死亡の関係を、多変量(性別、糖尿病歴、糖尿病治療薬の使用、心筋梗塞/脳卒中/癌の既往、飲酒量、喫煙歴と現在の喫煙量、学歴、1日のエネルギー摂取量、16群の食品の摂取レベル)調整Cox比例ハザード回帰モデルを用いて分析した。

 追跡中に脱落した1%を除いた患者の生死を確認し、死亡例については死亡日と死因を調べた。中央値9.4年の追跡で755人(13%)が死亡していた。心血管死亡は212人だった。

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