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Arch Intern Med誌から
認知症患者の胃瘻管理に褥瘡の予防・改善効果なし
新たな褥瘡の発生リスクを2倍に高める可能性

 施設に入所している進行認知症患者を対象に、胃瘻チューブ挿入が新たな褥瘡形成の予防と既存の褥瘡の改善に役立つかどうかを調べた前向きコホート研究の結果が、Arch Intern Med誌2012年5月14日号に掲載された。著者の米Brown大学のJoan M. Teno氏らによると、胃瘻栄養は褥瘡の予防や改善に役立たないばかりか、新たな褥瘡の発生リスクを2倍に高める可能性が示された。

 認知症が進行すると栄養摂取が難しくなるため、胃瘻を介した経管栄養が選択される場合が多い。多くの介護施設で、経管栄養が行われている認知症患者には、患者がチューブを引き抜かないよう、体の動きを抑制する処置がなされている。また、経管栄養は下痢を引き起こしやすい。こうした要因が褥瘡リスクを高める可能性がある。にもかかわらず、医師の約4分の3が、胃瘻チューブを挿入する理由の1つとして、「経管栄養は褥瘡の治癒に役立つから」と答えた調査結果もあった。

 そこで著者らは、介護施設におけるケアのアセスメントツールであるMinimum Data Set(MDS)データとメディケア受給者の請求情報を利用して、施設に入所している進行認知症患者を対象に、胃瘻を介した経管栄養の褥瘡管理における利益とリスクを評価しようと考えた。

 介護施設入所者が急性期病院に入院する際は、胃瘻栄養が適用されることが多い。著者らは、入院して胃瘻栄養療法を受けた患者と、入院したが胃瘻チューブを挿入しなかった患者の褥瘡の状態を比較することにした。選択バイアスを回避するため、傾向スコアがマッチする患者を選んでコントロール(対照)とした。

 施設入所者は、MDSの項目を用いて評価される認知機能のレベル(Cognitive Performance Scale;CPSのスコア)が6(最も重症、食事には全面介助が必要)になった時点でコホートに組み入れ、その後1年以内に1回以上入院した患者1万8021人を分析の対象にした。入院中に胃瘻チューブの挿入を受けた患者1人につき、コントロールとして、傾向スコアがマッチする胃瘻チューブ未挿入の入院患者を3人まで選んだ。

 評価指標の1つめは、褥瘡のない患者にステージ2以上の褥瘡が現れること、2つめは褥瘡のある患者の褥瘡の改善とし、施設に戻って平均24.6日で行われた入院後初のMDSアセスメントの結果に基づいて評価した。

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