日経メディカルのロゴ画像

Arch Intern Med誌から
救急部門でのST上昇心筋梗塞疑い、36%は偽陽性
心カテ要請があった411例について米国の分析

 プライマリPCIの実施に向けた心臓カテーテル室の速やかな起動は、ST上昇心筋梗塞STEMI)患者の転帰を向上させる。しかし、再灌流までの時間の短縮ばかりが強調されると、本来必要のない心カテ室起動の頻度が高まる可能性がある。米Harvard大学医学部のJames M. McCabe氏らは、米国内の2施設で救急部門から心カテ室起動要請があったSTEMI疑い患者について分析し、3分の1を超える患者が実はSTEMIではなく、心カテ室の起動は不要だったことを明らかにした。論文は、Arch Intern Med誌電子版に2012年5月7日に掲載された。

 著者らは、PCIが可能な医療機関の救急部門の医師による、STEMI偽陽性患者の心カテ室への照会の発生率を調べ、救急部門でのSTEMI診断時に利用できる、偽陽性リスクに関連する要因を明らかにしようと考えた。米国の2施設(California大学San Francisco校付属病院とSan Francisco総合病院)の救急部門を受診してSTEMIと判断された連続する患者の情報を登録したActivate-SF Registryから、08年10月から11年4月までにプライマリPCI実施に向けて心カテ室の起動要請がなされた患者の情報を抽出した。

 これらの病院では、救急部門の医師では判断がつかない場合のみ、心臓専門医に相談するシステムになっている。

 STEMI偽陽性の定義は、血管造影が行われた患者については、「責任病変が見つからず、完全に、またはほぼ完全に冠動脈閉塞はなく、TIMI分類がグレードIIIで冠動脈血流は正常だったケース」とした。血管造影が行われなかった患者については、「STEMIの診断を支持する3つのエビデンス(1:救急部門で可能な処置を超えた急性冠症候群に対する薬物療法が開始されていた、and/or STEMI以外の診断がない、2:心電図がSTEMI診断基準を満たす、3:バイオマーカー値がSTEMIを示す)のうち、2つまたは3つが当てはまらないケース」とした。

 試験期間中の救急部門からの心カテ室起動要請は計434回で、実際に心カテ室で血管造影を受けた352人の患者と、診断用血管造影は受けなかった(禁忌、死亡、患者自身が拒絶、医師による判断などの理由による) が、STEMIの診断が正しかったのかどうかを分析できる十分な情報が得られた59人を対象に選んだ。これらの患者について、救急部門の医師がどのような情報に基づいて心カテ室起動要請を行うに至ったのかを調べた。

この記事を読んでいる人におすすめ