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Ann Intern Med誌から
インフルエンザ迅速検査、全体の感度は62%
偽陰性に注意が必要、メタ分析の結果

 インフルエンザ迅速診断検査の精度を検討した研究を対象としたメタ分析で、市販されている迅速診断検査全体の特異度は98.2%と高いが、感度は62.3%であることが分かった。著者であるカナダMontreal 大学のCaroline Chartrand氏らは、「陽性判定時に偽陽性が存在する可能性は低いが、陰性判定だった人々の中には偽陰性患者が混じっていることに注意しなければならない」と述べている。論文は、Ann Intern Med誌電子版に2012年2月27日に掲載された。

 インフルエンザを早期に診断できれば、患者の管理は向上する。流行期の臨床現場では、簡便な迅速診断検査が広く用いられている。その精度について、特異度はおおよそ90%超と報告されているが、感度については10%から80%まで様々な報告があり、市販されている多様な検査を小児と成人に適用した場合の診断精度を分析したレビューはこれまで行われていなかった。また、迅速診断検査の精度に関するレビューを2009 H1N1パンデミック後に行った研究者はいなかった。

 そこで著者らは、成人と小児(18歳未満)のインフルエンザ様疾患患者について、迅速診断検査の精度をRT-PCRまたはウイルス培養と比較した研究を対象に、メタ分析を行った。

 PubMedとEMBASEに11年12月までに登録された研究と、BIOSIS、Web of Scienceに10年3月までに登録された研究、そして各論文の引用文献、ガイドライン、製造会社が保有する情報などからデータを抽出した。

 市販されている、免疫クロマト法を用いてインフルエンザウイルスの抗原を検出する迅速診断検査のいずれかの精度を、RT-PCR検査またはウイルス培養検査と比較していた研究を選んだ。

 119本の報告が条件を満たした。一部は複数の迅速検査について評価していたため、迅速検査と参照検査の精度の比較件数は159件になった。159件中52%が、成人と小児の両方を登録していた。成人のみを対象とした研究は14%、小児のみは34%だった。35%の比較が2009 H1N1パンデミック期間に行われていた。

 患者または標本の組み入れ条件を明らかにしていた研究は33%にとどまり、発症から検査までに要した時間を記録していたのは13%のみだった。盲検化による比較は41%だった。

 参照としては、RT-PCRとウイルス培養がほぼ同じ頻度で用いられていた。それらと比較されていたのは26種類の迅速検査だった。内訳は、Binax検査(BinaxNOW Flu A/Bが6件、BinaxNOW Influenza A/Bが22件)、Directigen検査(Directigen Flu Aが11件、Directigen Flu A+Bが30件)、QuickVue検査(QuickVue Influenzaが18件、QuikVue Influenza A+Bが23件)など。

 個々の比較で報告されていた感度は、4.4%から100%とばらつきが大きかった。感度に比べて特異度のばらつきは小さく、50.5%から100%の間で、85%以下の値を報告していたのは17件(10.7%)にとどまった。

 データをプールして求めたサマリー感度は62.3%(95%信頼区間57.9-66.6%)で、サマリー特異度は98.2%(23.8-98.7%)。これらの値を基に計算した陽性尤度比は34.5(23.8-45.2)、陰性尤度比は0.38(0.34-0.43)になった。

 感度は小児よりも成人の方が低かった。成人に迅速検査を行った場合の感度は53.9%(47.9-59.8%)、小児は66.6%(61.6-71.7%)(P<0.001)。特異度は、成人が98.6%(98.0-98.9%)、小児は98.2%(97.5-99.0%)で、有意差はみられなかった(P=0.135)。

 また、A型インフルエンザに対する感度は64.6%(59.0-70.1%)だが、B型については52.2%(45.0-59.3%)と低い傾向が見られた。特異度はそれぞれ99.1%(98.7-99.4%)と99.8(99.7-99.9%)で同程度だった。

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