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Ann Intern Med誌から
前立腺癌の経過観察法、基準があいまいで評価できず
系統的レビューを試みるも…

 限局性の前立腺癌患者に対する経過観察療法のうち、定期的に検査を行い、進行が見られた時点で根治療法を適用する積極的監視active surveillance;AS)と、症状の増悪が見られた時点で対処する待機的観察watchful waiting;WW)について、適用基準、観察期間中に行われる検査、速やかに根治療法を適用した場合と比較した利益などを評価する系統的レビューの結果が、Ann Intern Med誌2012年2月20日号に掲載された。著者の米Tufts Medical CenterのIssa J. Dahabreh氏らは、「対象とした研究論文におけるASとWWの区別はあいまいで、ASが限局性前立腺癌患者に対する適切な選択肢であるかどうかに関するエビデンスは不十分である」と結論している。

 先進国では現在、前立腺癌の多くがPSAスクリーニングをきっかけとして診断されている。PSAスクリーニングで発見されるのは主に早期で低リスクの前立腺癌だ。こうした患者が選択できる根治療法の種類は多い。しかし、癌の進行が遅く、前立腺癌で死亡する可能性は低い一方で、根治療法によって日常生活に深刻な影響を及ぼす有害事象が起こり得る。

 ASは、根治を目的に行われる経過観察療法で、進行が遅い前立腺癌で即座に治療を行う必要はないと見なされた患者に適している。患者にはPSA検査、直腸内指診、前立腺画像診断、生検などが定期的に行われる。生化学的、組織学的、または解剖学的に前立腺癌の進行が認められた時、または患者が治療を望んだ時点で、手術や放射線治療を適用する。一般にASは、より若く、低リスクで、健康状態が良く、根治療法が適用された場合の忍容性と利益が予想される患者に勧められる。

 一方、WWはより受動的な戦略で、進行によって症状が悪化した場合に主に対症療法的な介入を行う。より年齢が高い患者や、重大な併存疾患を有する患者など、根治療法に対する忍容性が低いと考えられる、または積極的な治療の利益が期待できない患者に勧められる。

 著者らは、早期の低リスク前立腺癌患者の管理におけるASまたはWWの役割について、既存の報告を対象に系統的レビューを行うことにした。著者らが検証を試みたのは、ASまたはWWの基準とプロトコル、選択に影響を与える要因、迅速な根治療法と比較した短期的・長期的転帰、の3つだ。

 MEDLINEとコクランのデータベースに11年8月までに登録された研究報告の中から、条件を満たす論文121本を選出した。ASとWWを明確に区別していた論文は少なかった。

 AS適用の基準を報告していたのは、16のコホートを対象とする研究だった。最も多く用いられていたのは、癌のステージ(全コホート)、グリーソンスコア(12コホート)、PSA値(10コホート)、前立腺から採取した生検サンプル(生検コア)中の癌陽性コアの数(8コホート)だった。年齢や画像診断の結果に基づく判断は少なかった。グリーソンスコアは6以下(パターン4または5は認められない)という条件を設けていた研究が多かった。PSA値については7コホートが10μg/L、3コホートが15μg/L、2コホートが20μg/Lという基準を用いていた。陽性コア数については、5コホートが2以下、3コホートが3以下を基準としていた。

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