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Arch Intern Med誌から
アスピリンの一次予防効果は出血リスクに相殺される
最新のメタ分析の結果、「日常的な予防的投与は支持されない」

 アスピリンの使用によって非致死的心筋梗塞などの初回心血管イベントは予防できるが、そうした利益を超える出血リスク上昇が起こりうる―。そのような結果が、英St George’s University of LondonのSreenivasa Rao Kondapally Seshasai氏らが行ったメタ分析で得られた。論文は、Arch Intern Med誌電子版に2012年1月9日に掲載された。

 アスピリンの予防的投与の利益の全体像は明らかではない。著者らは、心血管イベント一次予防に加えて、これまであまり評価されてこなかった非血管イベント、特にの一次予防におけるアスピリンの有効性と安全性を評価し、出血リスクの増大とイベントリスク低減のバランスを明らかにするために、無作為化試験のメタ分析を行った。

 Medlineとコクランライブラリに、11年6月までに登録された研究の中から、心血管疾患の既往がない1000人以上の患者を登録しており、冠動脈疾患または心血管イベント(冠動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、心不全、末梢動脈疾患)の発生を1年以上追跡していた無作為化試験を選んだ。

 日本で行われたJPAD試験を含む、9件の質の高い研究が分析対象になった。登録患者の合計は10万2621人(加重平均年齢は57歳、46%が男性)。心血管イベント、非血管イベント、死亡に関するデータと、出血イベントに関するデータを入手した。出血については、分析対象とする出血の定義が異なっていたため、著者らは独自に、重要な出血(あらゆる部位の致死的出血、脳血管または網膜の出血、管腔臓器からの出血、入院または輸血を必要とする出血、個々の研究で定義された大出血)の発生件数を調べた。

 研究ごとに個々のエンドポイントについて未調整オッズ比を求め、それらを集めてランダム効果モデルを用いて分析し、アスピリンの利益を評価した。さらに、心血管リスク低減と出血リスク上昇のバランスを推定した。

 平均追跡期間は6.0年で、約70万人-年の追跡が行われていた。その間に冠動脈イベントは2169件発生し、うち1540件が非致死的心筋梗塞、592件は致死的冠動脈イベントだった。脳卒中は1504件、心血管イベントは4278件、心血管死亡は1285件発生していた。非血管死亡は2587件で、うち1512件が癌死亡だった。全死因死亡は3895件になった。出血イベントは4万712件発生しており、重要な出血イベントは1万49件だった。

 プールした1000人-年当たりのイベント発生率は以下のようになった。非致死的心筋梗塞はアスピリン群が4.1、偽薬群は5.1、致死的心筋梗塞はそれぞれ1.9と1.9、冠動脈イベントは7.0と8.1、脳卒中は3.8と4.0、心血管イベントは12.8と14.1だった。心血管死亡は3.9と4.0、非心血管死亡は6.6と7.2、癌死亡は5.3と5.9、全死因死亡は11.0と11.7だった。出血イベントは36.0と21.2で、重要な出血イベントは9.7と7.4になった。

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