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Ann Intern Med誌から
妊婦への2009 H1N1ワクチンで胎児に十分な抗体移行
妊娠中~後期の単回接種で十分な免疫反応を誘導

 2009年のH1N1インフルエンザのパンデミックで、ハイリスク者としてワクチン接種を受けた妊婦において、強力な抗体誘導が起き、分娩時には出生児も十分な抗体を持っていたことが、仏Paris第5大学のVassilis Tsatsaris氏らの検討で明らかになった。論文は、Ann Intern Med誌2011年12月6日号に掲載された。

 季節性インフルエンザに対する不活化ワクチンを妊婦に接種すると、妊娠していない女性と同様の免疫反応を示すこと、経胎盤性の抗体移行により新生児も抗体を持つこと、安全性には問題はないことが示されている。また、妊娠後期の妊婦にワクチンを接種した前向き無作為化試験では、出生児の生後6カ月までのインフルエンザ罹患を63%減らしたと報告されている。

 著者らは、パンデミックとなった2009 H1N1インフルエンザに対するワクチンも、季節性インフルエンザワクチンと同様の効果を母子にもたらしたのかどうかを評価するため、フランスの周産期施設5カ所で前向きフェーズ2試験を行った。

 2009年11月3日から12月4日までに、18~45歳で妊娠週数22~32週の妊婦110人を登録。このうち107人に、実際にフランスで推奨された方法と全く同様に、1価の不活化スプリットワクチン(Sanofi Pasteur社製、15μgのヘマグルチニンを含むアジュバント非添加のH1N1ワクチン)を単回接種した。

 感染予防に有効な抗体保有者を「赤血球凝集抑制(HI)試験による力価が1:40以上だった者」とし、接種後21日目と42日目、分娩時、分娩後3カ月時点の抗体価が1:40以上の女性の割合を調べた。出生時の抗体価が1:40以上だった新生児の割合も評価した。

 セロコンバージョン(抗体陽転)率は、「接種前の抗体価が1:10未満で接種後に1:40以上になった妊婦」と「接種前が1:10以上で接種後に力価が4倍以上になった妊婦」を合わせて算出。幾何平均力価の増加倍率として、接種前の力価に対する接種後の力価の比率も求めた。

 107人中58人が妊娠週数22~26週、49人は27~32週でワクチン接種を受けた。その後、双生児9組を含む116人の新生児が誕生した。

 接種前の妊婦の幾何平均力価は11.0(95%信頼区間8.6-13.9)だった。接種前に1:40以上の抗2009 H1N1抗体を持っていた妊婦が20人(19%、12-27%)いた。接種前の抗体保有と有意な関係が見られたのは過去3年間の季節性インフルエンザ予防接種歴だった(P=0.001)。

 21日時点で、幾何平均力価は697.3(532.0-914.1)になっており、99人(98%、93-100%)の妊婦の抗体価が1:40以上になっていた。セロコンバージョン率は93%(86-97%)、幾何平均力価の増加倍率は67.4倍になった。

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