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Arch Intern Med誌から
転倒予測のTUGテスト不良なら、骨密度が正常でも骨折に注意
高齢女性1126人を対象にしたオーストラリアの研究結果

 高齢の閉経女性において、たとえ骨密度が正常でも、Timed Up and GoTUG)テストの結果が不良な場合は、その後9年間の非脊椎骨折のリスクが1.8倍、股関節骨折のリスクは2.5倍になることが分かった。オーストラリア・西オーストラリア大学のKun Zhu氏らが、Arch Intern Med誌2011年10月10日号に報告した。

 高齢者の骨折に関係する2大要因は骨の強度と転倒リスクだ。このうち、転倒予測因子としては、TUGテストが高感度で特異度も高いことが知られている。だが、TUGテストの成績とその後の骨折の関係を調べた研究はこれまでなかった。

 そこで著者らは、TUGテストの成績と、骨強度の指標である股関節部の骨密度が閉経女性の骨折の予測に果たす役割を調べることにした。

 対象になったのは、オーストラリアのPerth在住の70~85歳の閉経女性1126人(ベースラインの平均年齢は75.0歳)。ベースラインでTUGテストを行い、1年目に二重エネルギーX線吸収法(DXA)を用いた大腿骨近位部の骨密度測定を実施し(Tスコアが-1未満を骨密度低下と定義)、ベースラインから10年間の骨粗鬆症性骨折の有無を、X線撮影データを利用して確認した。

 TUGテストは以下のように行った。まず、いすに座った状態で待ち、合図を受けていすから立ち上がり、3m先のコーンをできるだけ早く回って戻り、元のいすに座る。合図の時点から、お尻が元のいすに触れるまでの時間を測定する。1回目は練習とし、2回目の測定値を分析に用いた。著者らは、所要時間が10.2秒超の場合を「TUG延長」と判定した。

 50歳から骨密度測定後1年目までの骨折は既存骨折とし、骨密度測定の翌年以降の9年間の臨床的骨折を新規骨折とした。TUGテストの成績、骨密度と新規骨折の関係を、年齢、既存の骨折、飲酒、喫煙、関節リウマチ、カルシウム摂取で調整し、ロジスティック回帰モデルとCox比例ハザードモデルを用いて分析した。

 ベースラインのテストで32.7%の女性がTUG延長と判定された。54.2%に大腿骨近位部の骨密度低下が見られた。

 追跡期間中に、新たな非脊椎骨折は17.5%、脊椎骨折は6.0%、股関節骨折は6.6%に発生していた。非脊椎骨折は、TUG延長群の21.2%、正常群の15.7%に(P=0.02)、股関節骨折はそれぞれ9.2%と5.3%(P=0.02)に発生し、いずれも有意差がみられた。脊椎骨折は5.7%と6.1%で、有意差はなかった(P=0.89)。

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