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Arch Intern Med誌から
簡単な行動療法が高齢者の慢性不眠に有効

 従来の認知行動療法よりも簡便な行動療法が、高齢者の慢性不眠症の治療において有効であることが、米Pittsburgh大学のDaniel J. Buysse氏らが行った無作為化試験で明らかになった。4週間の介入で半数を超える患者の不眠が解消し、その効果は介入終了から少なくとも6カ月後まで持続していた。論文は、Arch Intern Med誌電子版に2011年1月24日に掲載された。

 慢性不眠症は高齢者に広く見られる。不眠はQOLを低下させ、精神疾患や心血管疾患のリスクを上昇させる。薬物療法は有効だが、依存性が懸念されるほか、認知機能の低下や転倒を引き起こす可能性がある。認知行動療法も有効性が報告されているが、普及していない。その理由として、訓練を積んだ治療者が必要で、セッションの回数が多く、コストも高いことなどが考えられる。

 著者らは、より簡単で、介入期間が短く、患者が受け入れやすい行動療法があれば広く利用されるのではないかと考え、これらの条件を満たす行動療法を開発した。その効果を検証するため、高齢者を対象に、一般的な情報提供のみと比較する無作為化試験を行った。対象を高齢者にしたのは、不眠症患者が多く、薬物療法の有害事象が現れやすい集団だからだ。

 プライマリケア施設1カ所で患者登録を実施。並行して広告を出し、地域ベースでも患者登録を進めた。慢性不眠症で一般的な併存疾患を有する高齢者79人(平均年齢71.7歳、女性が70%)を登録、行動療法(39人、平均年齢72.5歳)または情報提供(40人、70.8歳)に無作為に割り付けた。いずれの介入も精神衛生専門のナースプラクティショナーが行った。

 行動療法は、最初に45~60分の介入セッション、2週間後に30分のフォローアップセッションを実施し、1週目と3週目には電話を通じた指導を行った。セッションでは、睡眠を促す要因、妨げる要因や、睡眠調節のしくみなどを教えた。介入のポイントは、(1)ベッドにいる時間を短くする、(2)睡眠時間にかかわらず毎朝同じ時間に起床する、(3)眠くなるまでベッドに行かない、(4)眠れないならベッドを離れる、の4つとし、患者1人1人に適した睡眠のスケジュールや、眠れないときにベッドから出て行う活動などを決め、文書にして本人に手渡した。

 この方法は、不眠症に対する行動療法としてその有効性が報告されている睡眠制限法と刺激制御法に基づいている。睡眠制御は、睡眠の質を高めるためにベッドにいる時間を制限するもので、今回は、通常の睡眠時間+30分に限定した(6時間未満は認めない)。刺激制御は、ベッドは眠るための場所と認識し、眠れないときや深夜に目覚めた場合には起き出して、あらかじめ決められた刺激の少ない活動をし、眠くなったらベッドに戻ることを習慣にするという方法だ。

 対照群には、プライマリケアで不眠を訴える患者に配布されることが多い、米睡眠医学会製作のパンフレットを渡し、読むように指示した。

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