日経メディカルのロゴ画像

Ann Intern Med誌から
KRAS変異はやはり抗EGFR療法への反応の予測因子
メタ分析で確認

 KRAS遺伝子の変異は、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とする抗体製剤(セツキシマブまたはパニツムマブ)を投与された進行大腸癌患者の反応を予測する有用なマーカーであることが、米Tufts Medical CenterのIssa J. Dahabreh氏らが行ったメタ分析で確認された。KRAS遺伝子が野生型の患者に比べ、変異陽性患者は抗EGFR療法の利益を得にくく、KRAS変異陽性は、全生存期間と無増悪生存期間の短縮と治療失敗率の上昇の予測因子だった。論文は、Ann Intern Med誌2011年1月3日号に掲載された。

 大腸癌患者の多くにEGFR遺伝子の増幅とこの受容体の発現上昇が見られる。これらを標的とするモノクローナル抗体、セツキシマブとパニツムマブは、単剤でも化学療法薬と併用した場合にも、進行大腸癌患者の全生存期間と無増悪生存期間を延長することが示されている。一方で、これらの抗体医薬を投与された患者には化学療法とは異なる有害事象が見られる。

 有望な治療薬として登場したものの、抗EGFR療法を適用された患者の一部は治療に反応せず、有害事象のみを経験すること、治療費が高額になることから、抗EGFR療法が有効な患者を選抜する方法が必要と考えられた。そこで、EGFR信号伝達経路の下流で機能する遺伝子の異常を調べる研究が精力的に行われ、KRASの変異が見い出された。

 KRASに変異があると、EGFR活性化の有無にかかわらず下流の経路が活性化される。したがって、KRAS変異は抗EGFR療法の有効性を減じると予想された。それ以来行われた多くの後ろ向き研究が、KRAS変異陽性者では抗EGFR療法の有効性が限定されることを示唆し、無作為化試験では、治療に対する反応の予測因子としてのKRAS変異の有用性が評価されてきた。

 今回著者らは、進行大腸癌患者のKRAS遺伝子の状態が、対照となる最善の支持療法または化学療法と比較して、抗EGFR療法の有効性にどのような影響を及ぼすかを明らかにし、KRAS遺伝子の変異状況が臨床転帰を予測するかどうかを確認するためにメタ分析を行った。

 PubMed、MEDLINEと、遺伝子データベースであるHuman Genome Epidemiology Literature FinderとdbCPCOに、10年3月24日までに登録された観察研究と、MEDLINE、コクランセントラル、コクランシステマティックレビュー、Database of Abstracts of Reviews of Effects (DARE;系統的レビューの抄録を集めたデータベースで、コクランシステマティックレビューと一部重複する)に10年9月1日までに登録された無作為化比較試験の中から、条件を満たすものを探した。

 論文発表された研究で、転移性大腸癌患者に抗EGFR治療を適用し、全生存期間と無増悪生存期間、治療失敗などの転帰を報告しており、KRAS遺伝子の状態を調べていたものを選出。計24件の研究(45本の論文が発表されていた)が条件を満たした。ほとんどの研究がKRASのうちコドン12とコドン13の変異のみについて評価していた。

 ランダム効果モデルを用いてメタ分析を進めた。

この記事を読んでいる人におすすめ