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Arch Intern Med誌から
女性では糖尿病とうつの間に双方向性の関係あり

 2型糖尿病になると、うつ病リスクが上昇すると考えられている。米Harvard大学公衆衛生大学院のAn Pan氏らは、Nurse's Health Studyに登録された米国の女性看護師を対象に分析を行い、糖尿病患者では、糖尿病ではない女性に比べて、抑うつ気分のリスクが1.17倍であることを示した。また、抑うつ気分がある女性は、抑うつ気分がない女性に比べて、2型糖尿病リスクが1.29倍であることも分かった。論文は、Arch Intern Med誌2010年11月22日号に掲載された。

 これまで、糖尿病患者にうつ病リスク上昇がみられると報告していた研究は複数あった。反対に、うつ病患者の2型糖尿病リスクは高いとの報告もあり、糖尿病とうつの関係は双方向性ではないかと考えられるようになった。しかし、同一の大規模コホートを対象にこの仮説を検証した前向き研究はほとんどなかった。

 そこで著者らは、Nurse's Health Studyに参加した女性を対象に糖尿病とうつの関係を調べることにした。この研究は1976年に始まったが、今回は、臨床的うつに関する質問が追加された96年以降のデータを利用した。分析対象となったのは、96年に50~75歳で、06年まで追跡が可能だった6万5381人の女性だ。

 2型糖尿病罹患については質問票を用いて調査し、医療記録を調べて確認した。

 臨床的うつは、医師からのうつ病という診断、または抗うつ薬を使用と定義し、抑うつ気分は、臨床的うつを有する、または重症のうつ症状を有する(MHI-5のスコアが52以下など)と定義した。MHI-5(Mental Health Index)はQOL指標として広く用いられているSF-36の下位尺度で、スコアは0~100の範囲になり、低いほど重症を意味する。

 共変数として、体重、BMI、喫煙歴、糖尿病の家族歴、運動量、飲酒歴、食事内容などに関する情報を抽出した。

 抑うつ気分の有無と糖尿病罹患の関係の分析は、ベースラインで2型糖尿病だった女性とベースラインの情報が不足していた女性などを除いた5万7880人を対象に行った。

 10年間、53万1097人-年の追跡で2844人が2型糖尿病に罹患していた。

 MHI-5スコアが86~100の女性(2万1494人)を参照群とし、スコアがより低い集団と比較した。スコアが76~85(1万8460人)、53~75(1万875人)、52以下(抑うつ気分。7051人)と下がるにつれて、糖尿病リスクは直線的に上昇した。完全調整モデルを用いて推定した相対リスクは、スコア76~85群が1.07(0.97-1.17)、53~75群が1.13(1.02-1.26)、抑うつ気分グループは1.17(1.05-1.30)で、傾向性のP=0.002になった。

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