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Arch Intern Med誌から
認知機能障害を2分で検出する簡便な検査を開発

 認知機能障害の判定に現在広く用いられているMMSE(Mini-Mental State Examination)と同様かそれ以上の精度を持ち、簡単に使用できる新たな検査が開発された。米Institute for Aging ResearchのTamara G. Fong氏らは、16問からなるこの検査「Sweet16」の詳細とその精度を報告する論文を、Arch Intern Med誌電子版に2010年11月8日に発表した。

 高齢者の認知機能低下は見過ごされることが少なくない。現在利用可能な評価法については、感度不足や、特定の集団に対する精度が低いといった問題が指摘されていたり、著作権法によって使用が制限されているか使用料が必要といった壁が存在するために、十分に利用されていない可能性がある。

 使用が簡単で迅速に実施でき、高精度の検査が自由に利用できるようになれば、認知症の早期診断やハイリスク者の同定が広く行われるようになるはずだ。そう考えた著者らは、新たな認知機能評価ツール「Sweet16」の作成に取り組んだ。

 Sweet16は、紙も鉛筆も不要で、訓練を受けていない一般人でも実施が可能、短時間で終了し、学歴や文化的背景の影響を最小限に抑えられるよう設計された。検査シートは、http://www.hospitalelderlifeprogram.org/pdf/sweet16_instr.pdfで閲覧できる。

 具体的には、時間と空間の見当識に関する項目8つ(合計8ポイント)、記銘力を調べる単語記銘に関する項目3つ(合計3ポイント)、注意の持続性を調べる数字記憶の項目4つ(合計2ポイント。初回と2回目は練習として行うためスコアを加算しない)、短期記憶を調べる単語遅延再生に関する項目3つ(合計3ポイント)から成り、正答なら1ポイントずつ加える。スコアの満点は16。

 一部の患者を対象に予備的に実施したところ、Sweet16の所要時間は平均2.0分、中央値は1.9分だった。

 MMSEとの相関性を調べてカットオフ値を設定するため、開発コホート研究を行った。開発コホートは、せん妄と見なされ緊急入院した65歳以上の患者を集めた無作為化試験と、同じ集団にせん妄ではなかった患者も加えて行われたネステッドコホート研究に登録された計774人(平均年齢83.1歳)から成っていた。それらの患者は全員、MMSEを用いた検査を受けていた。MMSEスコアの平均は15.1で、スコアに基づいて重度の認知機能障害(スコアが0~17)と判定された患者が456人(59%)、認知機能障害(スコア18~23)が181人(23%)いた。認知機能障害なし(スコア24~30)は137人(18%)だった。

 まず、Sweet16の有用性を最大化するために、Sweet16のスコアとMMSEのスコアの相関を調べて、カットオフ値を設定した。Sweet16はMMSEと高い相関を示した(スピアマンの順位相関係数r=0.94、P<0.001)。Sweet16のスコア16はMMSEのスコア29.5に相当した。MMSEで認知障害なしと判定されるスコアの下限である24に相当するSweet16のスコアは13.1、認知機能障害と判定されるスコアの下限であるMMSEの18はSweet16の9.7、MMSEのスコアが10の場合はSweet16スコアは4.6となった。

 MMSEのスコア24に相関するスコアをSweet16のカットオフ値にする予定だったが、13にするか14にするかはROC曲線下面積を指標に判断し、Sweet16のスコア14未満を認知機能障害と定義した。

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