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Arch Intern Med誌から
血液透析の早すぎる開始は死亡リスクを高める
早期開始群の1年死亡率は20%で、参照群の約3倍

 血液透析を開始する最適の時期を患者ごとに判断することは難しい。米国では、eGFRが10mL/分/1.73m2になった時点で定期的な血液透析を開始する早期開始が増えている。だが、米William Jennings Bryan Dorn VA病院のSteven J. Rosansky氏らは、米国の大規模な腎不全患者集団を分析し、まだ健康状態が良い段階で透析を始めると、死亡率が上昇する可能性を示した。論文は、Arch Intern Med誌電子版に2010年11月8日に掲載された。

 米国では1996年以降に透析早期開始が劇的に増えたという。近年、早期開始に利益はないとの研究結果が発表されており、さらに複数の研究が、早期開始は患者の生存を脅かす危険性があることを示しているが、分析において併存疾患の影響を調整することは非常に難しい。

 そこで著者らは、併存疾患が少ない、相対的に健康な透析患者群を分析対象にすることで交絡因子を最小限にし、早期開始が生存に与える影響を調べようと考えた。

 対象は、20~64歳で糖尿病ではなく、96~06年に血液透析を開始し、米腎臓データシステム(USRDS)に登録されており、高血圧以外の併存疾患がないメディケア加入者とした。

 患者に関する情報は、メディケアへの登録に用いられる末期腎疾患調査記録票から得た。年齢、性別、人種、腎不全の主な原因、BMI、血清クレアチニン値、血清ヘモグロビン値、血清アルブミン値や、併存疾患の有無などに関するデータを抽出した。

 透析開始時点のeGFRに基づいて患者を以下の4群に分けた。0~4.9mL/分/1.73m2(参照群)、5.0~9.9mL/分/1.73m2、10.0~14.9mL/分/1.73m2、15.0mL/分/1.73m2以上(早期開始群)。

 さらに、透析開始前のアルブミン値に基づいて、患者を以下の3群に分けた。2.5g/dL未満、2.5~3.49g/dL、3.5g/dL以上(参照群)。

 生存に関する追跡は、透析開始から07年8月31日の追跡終了まで、または移植まで行った。

 条件を満たしたのは、8万1176人の患者だった。透析の早期開始は、年齢が低い集団(20~44歳)に比べ、年齢が高い集団(55~64歳)で多く実施されていた。また、女性より男性に多かった。

 コホート全体では、透析開始から1年間の死亡率は9.4%、2年目は7.1%だった。早期開始群の1年死亡率は20.1%で、参照群の6.8%の約3倍だった。2年目の死亡率はそれぞれ12. 2%と5.8%になった。

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